(左から)Will Kennedy(ドラムス)、Russell Ferrante(ピアノ/キーボード)、Bob Mintzer(テナー・サックス/ソプラノ・サックス)、Dane Alderson(エレクトリック・ベース)
Photo by Roberto Cifarelli

4人の対等な正方形が、イエロージャケッツ・サウンドを進化させる。

 イエロージャケッツは、フュージョン・ブームの真っ只中の1981年に、ロベン・フォード(ギター)のレコーディング・メンバーだった、スタジオ・ミュージシャンのラッセル・フェランテ(ピアノ/キーボード)らのリズム・セクションが独立して、結成された。1990年に、ボブ・ミンツァー(テナー・サックス/ソプラノ・サックス/EWI)が参加してからは、コンテンポラリー・ジャズへとシフトする。

 「私が参加する前から、作曲に興味深い手法が取り入れられていた。その方向を突き進めるために、ジャズのバックグラウンドを持つ私が起用されたのだと思う」とミンツァーは振り返る。

YELLOWJACKETS 『Parallel Motion』 Mack Avenue/キングインターナショナル(2022)

 昨年、結成40年を迎えてニュー・アルバム『Parallel Motion』がレコーディングされた。近年はコラボ作品が続いていたが、久しぶりのクァルテット編成が中心の、爽快なイエロージャケッツ・サウンドが満載の快作だ。 「2021年に11月に1ヶ月のヨーロッパ・ツアーを巡り、久しぶりの有観客のコンサートで感激した。アメリカに戻ってから新曲のリハーサルをして、3日間スタジオに入ってレコーディングを行った」と、ミンツァーは語る。バンドのサウンドを進化させながら、ジャジー&ポップなコアの部分は不変の、このバンドが40年以上続く秘密を、ミンツァーに問う。

 「イエロージャケッツには、リーダーはいない。4人が対等な正方形をなしている。それぞれが異なる音楽的アイディアを持ち寄り、刺激しあい、お互いをよく聴いて忌憚のない意見を交換し、全員が作曲を手がけ良い音楽を創造するために貢献する。クリエイティヴな、素晴らしい環境だ。これがイエロージャケッツが、オリジナルサウンドを確立し、次々に美しい音楽を生み出して長く続いてきた理由だと思う。これはジャズの伝統でもある。私とラッセルは、ほぼ70歳、ウィル・ケネディ(ドラムス)は62、3歳、オーストラリア出身のデーン・アルダーソン(エレクトリック・ベース)は40歳。4人の異なるバックグラウンドと世代が、サウンドを多様化させている。デーンが2015年に参加してから、彼は我々には未知の音楽をもたらし、リズム・アプローチも大きく変貌を遂げた。ウィルとデーンのコンビネーションも素晴らしい。イエロージャケッツは、このようにして、その音楽を前進させてきた。現在は世界と社会情勢が不安定だが、人々をポジティヴな気持ちで満たす音楽を創り続けたい」。

 4人の正方形で原点に立ち返り、イエロージャケッツは50年に向けて、またその音楽を前進させる。