エヴリシング・イズ・レコーデッド『Friday Forever』への参加で脚光を浴びたトリニダード出身ラッパーのミックステープが、BBCの〈Sound Of 2021〉に選出された効果なのかフィジカル化。簡素なデモテープ作法で内省的に語るスケッチのような曲が並び、映画「天使にラブソングを2」の“Joyful, Joyful”を用いた冒頭の“Mourning Preyers”や、エリー・ゴールディング“Lights”からホーリーな部分を抽出した“Trap Phone”、ウォール・グループ“And You Don't Stop”をベタ敷きした“Crushed Velvet”などゴスペル色を強調しつつ、ジェイ・Zを引用した“Ashtray”などではエモい瞬間も垣間見せる。思わせぶりな習作ならではの良さかもしれないが、正調の完成品も聴いてみたくなる才能なのは間違いない。