コラム

オルケストラ・アフロシンフォニカ(Orquestra Afrosinfônica)『Orín, A Língua Dos Anjos』土着性と壮麗さが同居するブラジルの伝統を継いだラージ・アンサンブル

躍動するアフロ・ブラジリアンのリズムを継承するバイーアのラージ・アンサンブル

 ブラジルはバイーア州サルヴァドール発のオルケストラ・アフロシンフォニカ。“Orquestra Afrosinfônica”と名乗っているだけあって、アフリカから連れてこられた人々の末裔が多く住んでいるバイーアのリズムやサウンドを、パーカッション+ホーン・セクション+女性コーラスを中心とした編成で奏でるラージ・アンサンブルだ。 リーダーは、作編曲家でピアニストでもあるマエストロ・ウビラタン・マルケス。彼が指揮を務めるオルケストラ・アフロシンフォニカは、基本的にはヴォーカリストを含む4人のパーカッション隊、計12人のホーン・セクション、4人の女性コーラス隊、2人のコントラバス奏者といった男女混成メンバーで構成されている。

ORQUESTRA AFROSINFÔNICA 『Orín, A Língua Dos Anjos』 Máquina De Louco/THINK!(2021)

 オルケストラ・アフロシンフォニカは、ブラジルのクラシックを全世界に知らしめた作曲家エイトル・ヴィラ=ロボスから、クラシックとポピュラー音楽の双方に関わったハダメス・ジナタリに見出された20世紀後半の国民的作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンに至るまでの流れを汲んでいる。ただし、同時に『Orín, A Língua Dos Anjos』は、モアシール・サントスの『Coisas』(65年)からロウレンソ・ヘベッチスの『O Corpo de Dentro』(2016年)に至るまでのブラジルのラージ・アンサンブルの流れも汲んでいる。つまりシンフォニックな音楽ではあるが、あくまでもバイーアに根差している。現にアルバムの中には、“Orixa”という曲がある。Orixaは、ブラジルにおいてはカンドンブレの神々のことだが、もともとはヨルバの精霊または神的なものを意味する。だから一種の宗教的磁場を生み出しているパーカッション隊や女性コーラス隊のルーツを辿っていくと、アフリカに行き着く。オルケストラ・アフロシンフォニカの音楽は、こうしたバイーア独特の文化的土壌の上に成り立っている。壮麗でありつつも、土着的だからこそ芳しい〈アフロ・ブラジリアン〉の音楽だ。

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