実に12年ぶりとなるオリジナル・アルバムが到着。前作で聴き手を瞠目させたソングライターとしての非凡な才覚をさらに磨き上げ、作品の軸に据えており、柔らかでディスコティックなグルーヴを媒介にして美しいメロディーとハーモニーが全編を踊る、タイムレスなポップ・ミュージックが展開されている。そんな本作の指向性は、とりわけ曽我部恵一、畳野彩加(Homecomings)、川辺素(ミツメ)らを迎えたヴォーカル曲のフォーキーでシンプルな仕上がりに明快に見て取れるだろう。もちろん楽曲を支えているのはこれまで同様、さまざまな音の断片を緻密に編み上げるトラックメイキングなのだが、その特異な作風を突き詰めた結果、この普遍的なポップネスに到達したという点も驚き&グッとくる快作だ。