Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今回は第75回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

Spotifyプレイリスト

 


【田中亮太】

曽我部恵一 “永久ミント機関”

やったー、曽我部さんのダンス・ミュージックだー。(いつもながら)突如届けられた新曲は、約10分に及ぶバレアリック・ハウス。パーカッシヴなギター・ストロークと軽やかな4つ打ちのビートは推進力に溢れ、キラキラとしたシンセサイザーが涼しげで心地よい。2000年代にぽっかりあいたこの空洞の季節によく似合う、無人のフロア・バンガ―。

 

HANDSOMEBOY TECHNIQUE “Long Slow Distance feat.川辺素(ミツメ)”

曽我部さんを前曲“抱きしめた”にフィーチャーしていたHBTの新曲。今回はミツメから川辺くんが参加しています。ブリージンなインディー・ディスコが、川辺くんの青さを残した歌声にマッチ。それにしても、スクエアなビートと切ないギター・アルペジオは森野節ですね。

 

KONCOS “Never Been Beter”

N.E.R.D“Lapdance”の引用も納得のKONCOS流ミクスチャー。うるさくて、せわしなくて、一瞬。KONCOSは、JR西日本・山陰本線阿川駅の駅舎新設とともに誕生した、駅併設の商業施設〈Agawa〉のテーマソングを作成したようで、〈Agawa〉のオフィシャルサイトで聴くことができます。そちらは、バンド初期に取り組んできたチェンバー~ポスト・クラシカルの要素が強いピアノ曲。このふり幅がKONCOS、なんですよね。

 

髭 "GIZMO"

ドライヴィンでサイケデリックなロックンロール。そしてロマンティック! こういう曲をやらせると、髭にかなうものはいません。秋リリース予定のアルバムから最初のリード・ソング。以降、全6曲が先行配信されるみたいです。楽しみ。

 

【酒井優考】

H ZETTRIO “TOKYO”

いまの時節の東京にピッタリの、まるでオリンピックをやってる東京のような、ハチャメチャでゴチャゴチャの、でもクールでみんながカッコいい曲…………と本来であれば言うべき曲だったのかもしれないけど、それがこんなことになってしまい、ちょっとの空虚さとたくさんの期待を孕んで本来とは違う響きの曲になってるんじゃないかなと思います。だからこそ、いまの時節の東京にピッタリ。

 

ermhoi “Amphitrite”

あの常田大希率いるmillennium paradeのメンバーでもあるermhoi(エルムホイ)のMVを手掛けたのが、Mikikiでも大変お世話になっているみんな大好きカメラマンの垂水佳菜さん。ぼんやりしているけど光り輝いてて色鮮やかな世界観が、美しく浮遊感のある曲にマッチしてると思います。

 

東京事変 “赤の同盟”

この人たちはどうかしている。

 

原田珠々華 “サイダー”

自分のコンプレックスとか、コロナにおけるいろんな憂い(〈休校〉の文字)とか、なんかもやっとしたものを晴らすようなスッキリとした曲。

 

aymk “immoral”

いつも紹介しているaymkさんの、完全セルフプロデュースで自主レーベルよりリリースしたクールでダークな新曲。このMV、いろんな意味で大丈夫なのかなあ……(笑)。消される前に。

 

kiarayui “Rain on your hair (feat. Joe Barry)”

kiarayuiがニュー・アルバム『MOONLESS』をストリーミングでリリース(9月にはフィジカルでもリリースされるらしい)。〈魂と肉体の分離〉をテーマに制作されたそうで、この曲はいろんな生活音をサンプリングした1曲目。いや、そんな難しいことは全然理解できてないんだけど、どの曲も色合いが違うし歌声も違うのに、どの曲もすごく心地いいんです。ぜひ1曲だけと言わず全曲!

 

ネクライトーキー “北上のススメ”“渋谷ハチ公口前もふもふ動物大行進”

今年の頭はこの“北上のススメ”の〈哀しいこともムカつくことも 捨てる手前で溜まる、黙る〉という一節を何度も噛みしめて聴いてました。

 

【天野龍太郎】

Hi Cheers! “恋はケ・セラ・セラ”

注目のニューカマー、Hi Cheers!のセカンド・シングル(ファースト・シングルは7月に紹介しました)。アカペラのイントロからぐっと引き込まれ、次の瞬間にはハッピーでグルーヴィーなポップ・ソングが展開していく。あれもこれもとさまざまな音楽の要素が詰め込まれた豊かなアレンジに驚く。あと、ブリッジ部分のメロディーが秀逸。この4人、ただものじゃないです。

 

Daichi Yamamoto “Blueberry”

いまもっとも注目すべきラッパーの一人、Daichi YamamotoのニューEP『Elephant In My Room』から。迷いや逡巡をラップしながらも、ライミング、フロウ、デリヴァリー、すべてがかっこよすぎる。

 

Yaffle feat. Elia “À l’envers (TRACE7000 Remix)”

ついにファースト・アルバム『Lost, Never Gone』を9月18日(金)にリリースするYaffle。原曲がとても素晴らしかったのですが(ここで紹介しそこねました)、スロウダウンされたゴーストリーなこのリミックスも激クール。才能の塊です。

 

BAD HOP feat. T-Pablow, Tiji Jojo & Benjazzy “Bayside Dream”

新作『BAD HOP WORLD』から。ちょっと前に発表されたビデオですが、紹介し忘れていました。〈リアル〉っていうのは、彼らのためにある言葉。T-Pablowがかっこよすぎて震える。

 

マーライオン “おばけトンネル”

マーライオンの新曲。なんだか、すごくストレートなフォーク・シンガー然としてきましたね。新鮮でいい曲! 〈愛に化けて君に会いにいく〉という歌詞がユニークで素晴らしい。

 

wai wai music resort “ロング・ヴァケーション(SNJOカバー)”

SNJOくんの名曲“ロング・ヴァケーション”をwai wai music resortがカヴァー。原曲のボサノヴァ要素を増幅して引き出した、最高の翻案! 短いけれど、感動しました。

 

【鈴木英之介】

蓮沼執太フルフィル “windandwindows”

管弦楽器や木琴、スティール・パンなどをふんだんに配した、柔らかく奥行きのあるアレンジが、J-POP的な親しみやすいメロディーの中に絶妙に溶け込んでいる。これは和製チェンバー・ポップの新たな傑作と言っていいだろう。そしてそのサウンドが放射する多幸感に〈何気ないこの瞬間のかけがえなさ〉を切り取った歌詞が寄り添い、確かな輪郭を与えている。

 

冨沢仲 “防人”“夜の空気”

連日の酷暑に吹き入る涼風のような、極上のギター・アンビエント。ビートレスな編成や、ノイズをもロマンティックな音世界の一部として聴かせるアレンジからは、フリップ&イーノ『Evening Star』やフェネス『Endless Summer』などが想起されるが、日本人アーティストの手になるものだからか、その旋律やハーモニーからは彼らの作品にはない和の匂いがほんのりと感じられる。

 

ねもぺろ from でんぱ組.inc “ベイビー♡ベイビー”

渋谷系やモータウン・サウンドを消化しきったポップ・ナンバー“しゅきしゅきしゅきぴ♡がとまらないっ…!”のクォリティーの高さには驚かされたものだが、この最新曲もまた良い。相対性理論を思わせるようなクリーンなギター・リフがメロウなジャジー・ヒップホップのようなトラックと溶け合い、そこに甘くもほろ苦い歌唱が乗る。少し感傷的になった夏の夜にぴったりなナンバーだ。そして、このMVのエモいこと! 鹿目凛(ぺろりん)が聴いているのがカセットというところも、また良い。

 

【小峯崇嗣】

一寸先闇バンド “フレンドゾーン”

おーたけ@じぇーむずを中心に2019年結成されたバンド、一寸先闇バンド。彼らのデビューEPから”フレンドゾーン”をご紹介。スロウなドラムに絡み合うポスト・ロック的な流麗なギターのタッピングが特徴的なイントロから、ポップなメロディーで映画のワンシーンのように展開していく一曲。一点の曇りもない清白な歌声によって語られる日常のひとコマの歌詞がジーンときます。中村佳穂などが好きなリスナーにとても刺さる音楽性かと思います。

一寸先闇バンドには、TOWER DOORSからメール・インタビュー〈6つの質問〉を投げかけています。結成秘話や影響受けた音楽など、気になる方は併せてチェックしてみてください。

 

madrone avenue “One Story”

5人組ギターレス・バンド、madrone avenueがニュー・シングル”One Story”をリリース。ミニマルなビートと流麗なピアノ・サウンドから徐々に叙情的に展開していく爽やかなインディー・ポップ・ソング。ヴォーカルによって紡がれる新たな物語の始まりを表したようなみずみずしい歌詞がまた素晴らしいです。

 

a子 “drug”

以前もご紹介したSSWのa子が新曲”drug”をリリース。新曲をリリースするごとに新たな才能を垣間見せていく彼女のソングライティング・センスは驚愕です。今回はサックスを取り入れた渋い一曲に仕上がっています。

そして9月23日(水)にファーストEP『潜在的MISTY』が発売することも発表されました。タワーレコード オンラインから予約を受け付けていますので、どうぞお見逃しなく。

 

Capote “echo”

2019年結成、KoとAyakoによるデュオ、Capoteのニュー・シングル”echo”をご紹介。モジュラー・シンセの柔らかく深いサウンドがゆったりとイントロから鳴り響くきますが、アンビエント調で実験的なサウンドも加えながらもミニマルでポップな楽曲にまとめた美しい一曲です。またビートが入るタイミングが絶妙で中毒性のある楽曲でもあります。彼らによる楽曲の解説をYouTubeの詳細部分に載せていますのでそちらも覗いてみてください。