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音楽がなかったら生きていけない

――今回、サウンド・プロデュース&アレンジにTurntable Filmsの井上陽介さん、ピアノ演奏に下村亮介さん(the chef cooks me)を起用したのは何故ですか。

「おふたりとは、昨年〈“Cure” Online Live at Blue Note Tokyo〉とGotchバンドの制作でご一緒させていただきました。そのときの感じがすごくよかったので、〈絶対にお願いしたい〉と思ってお声がけさせていただきました」

――“Dear my friend”と併せて楽しんでほしい作品はありますか。

「映画『スタンド・バイ・ミー』(86年)です。マイ・バイブルくらいに好きな作品なのですが、通じるものがあると思います。大人になった主人公の男の子が最後のシーンで〈10年以上も会っていなかったが、永遠に彼を忘れはしまい。あの12歳のときのような友達はもう二度とできない〉って綴るんですが、そういう感覚は根底で繋がっているような気もしますね」

――最近は、どんな音楽を聴いていましたか。

「舞台(『家族のはなしPART1 2021』)で心身ともにパワーを使っていたのもあり、ローファイ・ビートな曲ばかり聴いていました。ヘビロテしていたのは、ディラン・シッツ(Dylan Sitts)の“Rain Check”。高速に乗って神奈川の劇場へ向かう車中でも繰り返し聴いて、自分のなかでグワーってあがるものを沈めていたんです。ずっとしゃべりっぱなし動きっぱなしの舞台だったので、テンションが上がる曲を聴くとしんどくて。静かな音楽でエナジーをできるだけ蓄えて、袖にいったらスイッチをガンっていれるようにしていました」

ディラン・シッツの2019年のシングル“Rain Check”

――音楽に生活が根付いている小西さんらしいですね。

「どれほど助けられていることか……。音楽がなかったら生きていけないです、本当に」

 

新企画〈小西真奈美のスタジオ訪問〉?

――気になっていたんですけど、2月21日のSNSに投稿されていた〈出来る人にはあっという間に出来ちゃう楽しいであろう作業〉ってなんですか。

「打ちこみの音作りです(笑)。本当にDAWやMIDIって、調べ始めたら沼じゃないですか。ひとつの音を作りたいだけなのに、さっきまで動いていたパソコンがフリーズしたりするし、気づいたら3時間経っていたりする。〈えーっ!〉みたいな感じですよね(笑)。でも、できる人にはピッて一瞬なわけで……」

――現在の宅録環境は、どんな感じなんですか。

「パソコンにはLogic Proが入ってて、インターフェースはNative Instruments。ヘッドホンがいくつかあって、マイクがあって、スピーカーがあって……。打ちこみ用の鍵盤と演奏用のピアノがあります。あとは、(ローランド)TR-808。〈ヤオヤ〉と呼ばれているリズム・マシーンのちびバージョンです。鳴らしているのが楽しくて。休みの日は外出もせずに、ひたすら機材で遊んでいます(笑)」

――それだけの設備が整っていたら、鼻歌で作詞・作曲をしていた頃には作れなかった楽曲も生み出せそうですね。

「機械を使うと頭のなかで鳴っている音を探せるっていうのはありますよね。それがすごく楽しいのですが、あっという間に時間が経っちゃう! トラックメイカーさんやプロデューサーさんって、本当にすごいなって思います。DTMを始めてから、リスペクトがさらに増しました! 機会さえあれば、いろんなかたのスタジオを訪問してみたいので、ぜひMikikiでそういう企画を作ってください(笑)」

――たしかに、面白そうですね。

「私みたいに好きなんだけど詳しくないという人が〈勉強させてください!〉っていう目線で、スタジオに訪問したらどうなるかみたいな。音楽に超詳しい人だけじゃなく、いろんな人が見て楽しいと思うんですよね……。反響がよかったら、自ら〈出てみようかな〉ってかたも出てくるかもしれないですし!」

Mikiki編集「企画を立てるしかないですね(苦笑)」