ジェイコブ・ディランはやっぱこの名前を背負って立つときがもっとも男前に見える。前作『Glad All Over』から9年も空いたし、意表を突く新機軸が用意されていたりして?なんて考えもよぎったが、目線はまっすぐルーツ方向へ。トム・ペティへの敬愛が滲むカントリー・ロック仕様の“Roots And Wings”、シェルビィ・リンとの掛け合いがエモーショナルなフォーク・ロック調の“Maybe Your Heart's Not In It No More”など、どのサウンドも長時間かけて練り上げられた燻し銀の色合いをしていて、風味満点だ。落ち着きのなかに溌溂とした空気を注入するブッチ・ウォーカーのプロデュース・ワークも冴えている。ウォールフラワーズがなんで好きなのか?という理由を一曲一曲じっくり噛みしめつつ確かめたい。