2017年結成の男性2人組ユニットによるメジャー1枚目。90年代のJ-Popを彷彿とさせるキャッチーなメロディーとお洒落でポップなトラック、ソウルフルなSOTAの歌声……それぞれの耳馴染みの良さが最高。ふと街頭で流れていたら耳を惹かれる楽曲が揃っていて、Shazamのチャート上位を獲得したというのも納得だ。軽快なサウンドに心躍る“Slow Dance”をはじめ、日々の休息を優しく明るく彩ってくれる作品。

 


昨年のファースト・デジタル・シングル“Honeys”がYouTubeや各種ストリーミング・サービス、ラジオで話題を集め、同曲を含む自身初の全国流通盤『TOBARI』や、Official髭男dismやスカートなどを擁するIRORI Recordsからのリリースとなった2作目のEP『Slow Dance EP』でも注目を集めた、SOTA(ヴォーカル)とTAKKI(ギター)によるユニットSOMETIME'S。彼らから、メジャー・デビュー・アルバム『CIRCLE & CIRCUS』が届けられた。

華やかなホーン・セクションとクールに刻むTAKKIのギターにSOTAの歌が乗る代表曲“Honeys”を始め、“My Love”や“Slow Dance”、“SUNRISE”など各曲に通じているのは、思わず腰を揺らし、手を叩きたくなるような心地よいファンクさ。他にもブリブリのサックスから軽快なファンキーさが飛び出す“It's OK”や、オーケストラヒットが巧みに使われたクールなディスコ・ナンバー“HIPHOPMAN”などは、その遊び心の効果も相まって、まるで曲ごとに腰の振り方も変わってくるようだ。

一方で、TAKKIのアコースティックが堪能できる“迎灯”や、SOTAの美声をゆったり味わえるバラード“KAGERO”など、全15曲がただのファンキー一辺倒に落ち着いていないところも良い。アルバムタイトル『CIRCLE & CIRCUS』の中の〈CIRCUS〉は〈多彩な楽曲〉のことを指しているそうで、1曲1曲ジャンルが異なるし、音量やテンポにも緩急がつけられている。さらに、次にどんなショーが飛び出すのか分からないワクワク感もあって、文字通りサーカスのように楽しめるのだ(ちなみに〈CIRCLE〉は〈数々の縁〉の意味らしい)。

個人的なお気に入りで、かつ聴いて驚かされたのは1曲目の“Signal”。夜の高速道路を駆け抜けるアーバンでスピーディーなナンバーだが、ちょっとフュージョンとかクラブ・ジャズを匂わせるような今までにない雰囲気と疾走感を持ち合わせていて、そこに乗るSOTAのファルセットも超美麗でカッコいい。SOMETIME'Sの新たな一面を見せると同時に、メジャー・ファースト作がこれまでの作品から一皮も二皮も剥けたことを示しているような楽曲だ。そして極め付きは、ラスト・ナンバー“You and I”。テンポがだんだんと速く終わり方も最高で、大作を締めくくるのにふさわしいスタジアム・ロックのような楽曲に仕上がっている。

この灰色の毎日を、SOMETIME'Sの多彩な楽曲たちがクールに、ファンキーに、カラフルに染めてくれることは間違いないだろう。