2017年にナイトに叙せられ、その約2か月後に死去した英国の名指揮者、サー・ジェフリー・テイト。ライブ録音は待望というべきで、メンデルスゾーンの交響曲は初ディスクとなる。素晴らしい“真夏の夜の夢”があったテイトの「スコットランド」(2000年ライブ)が聴けるとは! 近接する音像ながら、冒頭から立ち昇る詩情豊かな語り口には悠然たる風格が漂う。開放的なオケから沈着な音を引き出すアダージョでの荘重描写の巧者ぶりは、名だたる巨匠指揮者たちのもと、オペラの現場でたたき上げ、独墺音楽の手練れとして名を馳せたテイトならではのもの。当時20歳のラクリンと共演した協奏曲95年ライブも併録。