インタビュー

カントキューブ『LOVE』クラシックを身近にする新ユニットが倍音豊かな男声を響かせたデビュー作を語る

©︎Akira Muto

ジャンルの壁を超えた〈男声の倍音〉、心に届けるカントキューブ

 テノール=隠岐速人、バリトン=高橋洋介、バス・バリトン=後藤春馬、ピアノ=長井進之介からなるユニット〈カントキューブ〉がデビュー盤 『LOVE』をキングインターナショナルからリリース、10月に全国4箇所を〈第一幕 LOVE〉と名づけたツアーで回る。

 4人は東京都立府中西高校、東京藝術大学音楽学部、国立音楽大学、新国立劇場オペラ研修所などを介し、それぞれに縁があった。

 「コロナ禍でなかなか外国からアーティストを呼べない状況が続くなか、音楽事務所のプロアルテムジケから〈日本人の男声ユニットをつくりたい〉と申し出があり、結成に至りました」(後藤)。

 発案者のプロアルテムジケのマネージャー、今西慎吾氏も国立音大出身で「一般の人々がどうやってクラシック音楽に目を向けてくださるか考え、ポピュラーを導入としてクラシックに引き寄せ、最終的には歌全体を身近に感じてほしいとの思いから、きちんと計画を立てました」と明かす。

カントキューブ 『LOVE』 キング(2021)

 全部で13曲を収録。うち6曲がオペラのアリアと重唱でイタリア語、ドイツ語、フランス語を歌い分ける。さらにナポリターナが2曲、ポップスが5曲で英語、日本語が加わる。オペラは歌い込んだレパートリーが多く美声の饗宴、クロスオーバーは定番もあれば、F・マーキュリーの“ボヘミアン・ラプソディ”のように「かなり頑張りました」(隠岐)の新機軸もある。最後は思いを一つに束ね「コロナ禍にあって関係を絶たれ、閉塞感を強める人々の気持ちを解放したい」(長井)と願いつつ、村松崇継の「いのちの歌」に心をこめた。それはそのまま、アルバムタイトルのLOVE=愛につながる。

 古くはダーク・ダックスや歴代ジャニーズ、近年のイル・ディーヴォ、イル・デーヴに至るまで歌手3-4人のユニットはほぼ、男声の専売領域だ。その理由を尋ねると、高橋が「倍音が女声に比べ幅広く出て、包み込まれる体感が豊かだからです」と答えた。「コロナ禍で花火大会や和太鼓の公演まで動画配信されますが、今ひとつ物足りないのは耳ではなく体で感じる=体感の魅力を欠くからではないでしょうか? 私たち男声の包み込む倍音が一つに溶け合った瞬間、必ずや人の心に届くと確信しています」

 最初は盛りだくさん過ぎると思えた選曲も注意深く聴けば1本、芯を通したのがわかる。全員が30~40代でそれなりのキャリアを積み「今ならクロスオーバーに触っても、品を崩さないで歌える」との自負も漂い、なかなか魅力的なアルバムに仕上がっている。

 


LIVE INFORMATION
カントキューブ コンサートツアー 2021 第一幕 LOVE

2021年10月16日(土)京都 旭堂楽器店サンホール
開場/開演:18:30/19:00
https://www.proarte.jp/shop/products/detail.php?product_id=2656

2021年10月17日(日)福岡・大牟田 ひまわりホール
開場/開演:14:30/15:00
https://www.proarte.jp/shop/products/detail.php?product_id=2657

2021年10月22日(金)沖縄 南城市文化センター シュガーホール
開場/開演:18:30/19:00
https://www.proarte.jp/shop/products/detail.php?product_id=2655