無伴奏チェロ組曲第1番ト長調&第6番ニ長調と無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調を編曲してヴィオラで演じ、しかもト調でまとめてト長調→ト短調→ト長調のシンメトリー構造、トリプティークとして新しい意味をもたせた画期的な1枚。安達真理の演奏も移調の効果を追究したもので、チェロ組曲の2曲はヴィオラのイメージを超えて輝かしく、晴れやかに鳴り渡り、間に挟んだヴァイオリン・パルティータ第2番は作品の受難曲的なイメージがいっそう深まっている。3曲続けて聴くと、〈過去・現在・未来〉ともとれるメッセージ性が生まれており、筆者には聴き手への力強い励ましと感じられた。