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ロス・フロム・フレンズ
Photo by Fabrice Bourgelle
 

無名のロウハウサーからダンスカルチャーの中心的存在へ

──ロス・フロム・フレンズは、そうしたシーンのハウス新世代のひとりみたいな部分から、まさかのフライング・ロータスが主宰するブレインフィーダー軍団入りをしてアルバム『Family Portrait』(2018年)を出したという。当時の印象はどうでした?

DNG「ブレインフィーダーからのリリースは結構意外だったっすね。ブレインフィーダーはもっと複雑な音楽性の人たちがいるレーベルという認識があって、もう少しロス・フロム・フレンズはラフというか」

Licaxxx「当時は〈フライローがこういうのをやりたいテンションなのかな〉って勝手に思ってましたけどね。当時のレーベルのリリースだとジェイムズ・ズーとかも近いような。でも、それまでのレーベルのイメージからするとギリギリの外側の感じだけど、逆にイメージを広げるために、あえてあのタイミングでレーベルから出したかったのかなという」

2018年作『Family Portrait』収録曲“Wear Me Down”
 

Kotsu「僕はダンスミュージックへの入り口が、ロブスター周辺のハウスだったので、ブレインフィーダーからのリリースに関しては〈とにかくすごいレーベルから出したんだろうけど……〉という戸惑いの感覚も最初はあって。ロブスター周辺のアーティストで、アルバムの流れとかもあって、結果的にその代表選手的な存在になりましたけど、〈こうやってキャリアを築いて生き残っていくんだ〉というのを最初に見れたアーティストかな。わりと当時のロウハウスとかローファイハウスと呼ばれてたシーンの人たちって、無名のまま消えていった人たちが多いと思うから。

そうしたシーンで無名のなかのひとりが、レーベルにフックアップされて、アーティストとして名を残すというのが新鮮でした。どちらかと言えばロス・フロム・フレンズは現場たたき上げというよりも、リリースに力を入れていた人だという印象です」

 

東京公演は“Talk To Me You’ll Understand”でピークタイムを迎えた

──2000年代後半のテクノ、ハウスの軸はベルリンにあって、ちょっとロンドンの印象は弱かったとすると、2010年代後半には、新世代のロンドンが別の軸として新たに出来た感じがありました。そこに対してみなさんの世代は同期しているという感じがします。ロンドンのローカルではスタンダードなんでしょうけど、UKガラージのリバイバルなんかも混ざる形で、イギリスのハウスがひとつ戻ってきたというか。

DNG「そうですね。そのあたりの流れで、ディスクロージャーの存在は大きいのかなと。UKガラージリバイバルのポップでメジャーな最初の入り口として、やっぱり自分的には彼らがいたのは大きいというか。ディスクロージャーがいて、地下にロブスター・テルミンがいて、そこにロス・フロム・フレンズもいるという」

──層の厚さですよね。かたや巨大なフェスのダンスアクト、かたや無名のアクトのレコードをスタンプ盤とかでもリリースするアンダーグラウンドレーベルという。そういえば、CYKはロス・フロム・フレンズの来日公演のホストを行っていましたが、どういう人でしたか?

DNG「正直、コミュニケーションをとる時間はあまりなかったんですよね」

Nari「でもふざけ方が少し近かったかもしれない(笑)」

Kotsu「あのときのパーティーは“Talk To Me You’ll Understand”でいちばん盛り上がったよね。そこまでキラーなフロアトラックでもない曲で盛り上がったという部分では、ちょっと日本のクラブカルチャーの未来を感じたというのはあって」

Nari「みんな歌ってたよね」

2016年のEP『You’ll Understand』収録曲“Talk To Me You’ll Understand”