BOYS ARE BACK
一時代を築いた男たち……ウエストライフ、ウォンテッド、JLSの新作が相次いで登場!

 男女を問わず広義のアイドル・グループが盛んな日本や韓国の音楽シーンを眺めていると、その源泉となった欧米ではグループ形態の新顔が生まれにくくなっていることを改めて思わざるを得ないが、そんななかでもファンベースの強固な往年の人気者たちはそうしたスタイルのロマンを現代に繋いでいる。ここではちょうど〈第2章〉を開いたボーイズ・グループたちの、相次いでリリースされた新作を紹介しておこう。

WESTLIFE 『Wild Dreams』 EastWest/ワーナー(2021)

 まずは成功の規模的にも突き抜けているウエストライフのニュー・アルバム『Wild Dreams』。00年代のUKで最高のアルバム・セールスを記録し、エルヴィスとビートルズに次いで歴代3位となる14曲の全英No.1シングルを残しているアイルランドのスーパー・グループで、2012年に解散するも2019年に『Spectrum』でカムバック。リユニオン後の2作目となる今回の『Wild Dreams』は、パンデミックによって20周年記念ツアーが途中で延期となったことを受け、ロックダウン期間にスタジオや各人の自宅スタジオを行き来しながら制作されたものだという。ジェイミー・スコットとロストボーイによるアップリフティングな先行シングル“Starlight”が象徴するように、世界的な試練にインスパイアされたという楽曲はどれもポジティヴなエネルギーに溢れ、困難に沈むリスナーたちを未来に向けて鼓舞するようなトーンで仕上げられている。メンバーもコライトした“Alone Together”など爽快なアップ・ビートの楽曲を軸に、ハートフルな“Always With Me”など得意のバラードもしっかり収録。デビュー曲“Swear It Again”からの長い縁となる名匠スティーヴ・マックが前作に続いてエド・シーランと共作した“My Hero”を提供しているのも注目だろう。

THE WANTED 『Most Wanted: The Greatest Hits』 Global Talent/Island/ユニバーサル(2021)

 で、そのスティーヴによる“All Time Low”(2010年)や“Glad You Came”(2011年)で全英ブレイクした5人組がウォンテッドだ。かのワン・ダイレクションと人気を競うも絶頂期の2014年に活動を終えた彼らだが、脳腫瘍を患ったメンバーのトム・パーカーを支えるべく集結し、2021年に正式に再始動。このたび届いたベスト盤『Most Wanted: The Greatest Hits』は、変わらぬ青春モードが眩しい新曲“Rule The World”と“Colours”や代表曲のアコースティック新録も楽しめる一枚となっている。

JLS 『2.0』 BMG(2021)

 さらには「The X Factor」から独自のポップR&B路線を貫いてブレイクし、2013年に解散した4人組のJLSも再結成作『2.0』を発表。デビュー曲“Beat Again”(2009年)などの全英No.1に寄与したスティーヴ・マック作の“Eternal Love”をはじめ、以前の攻めた姿よりはマイルドになりつつ、いい具合にアダルトになった歌心が楽しめる。