雌伏の期間を乗り越えた7人が圧巻の勝負作を完成! 多彩なクリエイター陣を迎え、チーム一丸となって作り上げた気合いのニュー・アルバムは色鮮やかなハーモニーが瞬く未知の音楽との遭遇に溢れている!

重みがあります

 東京の南端に位置する町田から、素敵な歌と素敵な歌声、ハーモニーを全国に向けて瞬かせてきた、まちだガールズ・クワイア。2019年春に発表したシングル“銀河ステーション”をきっかけに〈宇宙〉をテーマに掲げ、翌2020年春のシングル“Moon base”ではコズミックなダンス・ロックを聴かせるなど、ここ最近、ステージや楽曲の世界観をグッと広げてきた彼女たち。そんななか、2020年9月に開催された町田市民ホールでのワンマン・ライヴで、セカンド・アルバムを発表することをアナウンス。しかし、コロナ禍においてすぐに事は進まず……。

 「私たち自身、どうしていくんだろうっていう焦りも出てきたので、年が明けてすぐにメンバーでグループLINEを作って、プロデューサーの石田ショーキチPにも入ってもらい、話し合う場所を設けたんです。ライヴ活動が制限されているからこそ制作に時間をかけられるかもねっていう話から、どういう方向性にしたいかとか……そこでようやく始まった感じです」(もえか)。

 メンバーの熱意と、それに押された音楽家/プロデューサー石田の小宇宙がブーストし、制作は進み出す。なんといっても4年ぶりのオリジナル・アルバム。グループのスキルも格段に磨かれ、それをファンの側も実感している。高まる期待、緊張感、〈期待通り〉程度では満足できない……。縁のある作家陣から新しい楽曲が次々と託される。

 「一曲一曲いただくたびに、こんなにいい曲もらっていいの、えっ、こんなにいい曲もらっていいの!って毎回思いました」――リーダー・えりかのそんな言葉に、メンバー全員が頷く。

 「歌の練習や一曲ずつ丁寧に曲を紐解いていくことにもじっくり時間をかけられたし、8月から毎月1曲ずつ先行配信でお客様に届けて、噛みしめてもらえる期間があってのリリースなので、完成度的に私たちもすごく満足しています。本当に、最後の最後までショーキチPとああだこうだ言いあいながら……それこそ新曲を聴かせてもらってすぐに〈Aメロのここなんですけど……〉とか〈ここのハーモニーちょっと気になります〉とか〈ここの歌詞ちょっとこっちに変更できませんか〉とか、遠慮せずにたくさん意見を言わせてもらい、それを反映させてもらったので、チーム一丸となって作った一枚。重みがあります。ショーキチPも〈ホントにオレがんばった〉って言ってました(笑)。曲はいろんな方に書いてもらっていますけど、3部編成のコーラスにアレンジして譜面を起こすのはショーキチPだし、音を録るのもミックスするのもショーキチP。しかもメンバーからやいのやいの言われて(笑)」(もえか)。

 

みんなどこかで主人公になってる

まちだガールズ・クワイア 『オリオン座流星群』 SAT(2022)

 そうしてめでたく完成を見たニュー・アルバム『オリオン座流星群』は、昨年1月のワンマン・ライヴでも冒頭で歌唱されていた“星めぐりの歌”(宮沢賢治の作詞・作曲)で幕を開ける。

 「ライヴで見せたかった雰囲気が、この1曲目で伝わったと思うんです。一気に宇宙感にもっていく曲」(さきこ)。

  “プラネタリウムのある町で”は、矢舟テツローが作詞・作曲・編曲を手掛けたジャズ・コンボ風の明るいナンバー。〈プラネタリウムのある町で私は育ったのでした〉という一節があるが、町田にもかつてプラネタリウムがあった。

 「矢舟さんは、町田市民ホールで初めてのワンマンをしたときにバンドで参加してくださって。それに、町田のご出身でもあるんです」(もえか)。

  “星空のシンセサイザー”は、プロデューサーの石田ショーキチがアルバム用に最初に書き下ろしたロマンチックなシンセ・ポップ。かの映画へのオマージュもそこかしこに。

 「やはりショーキチPの新曲はメンバーみんな〈歌いたい!〉って心待ちにしていて。初めて聴かせてもらったときも、みんなで〈めっちゃいい! これ絶対、ファンの人も好きだよ〉って」(もえか)。

 「ショーキチPから、〈レコーディングの時までに全員『未知との遭遇』を観ておきなさい〉っていうお題が課せられたんですが、楽曲のイメージともすごくぴったりで」(えりか)。

 “銀河ステーション”のアルバム・ヴァージョンを経て、ハーモニーも際立つドリーミー・ポップ“ひとつぼしポラリス”へ。曲を手掛けたのは、石田の旧い友人でもある宮城在住のテクノ・ユニット、スノーモービルズの遠藤裕文。さらにmicrostarからの提供曲“Voice In Space”は、ラー・バンド“Clouds Across The Moon”風情のファンタジックなナンバー。続く“セブンスターズ”は、町田市を拠点とする彼女たちのパーソナルが見え隠れするピアノ・ポップ・チューンで、SEBASTIAN Xの永原真夏が作詞・作曲している。

 「“セブンスターズ”は、あいねが真夏さんと直接お話をしたうえで書いていただいた曲なので、そういう意味では楽曲制作において新しい一歩を踏んだ曲なのかなって思います」(えりか)。

 「真夏さんのほうからもメンバーへの質問をたくさんいただいて」(あいね)。

 「歌詞の世界観が心にグッときて、歌っていても楽しいし、ライヴで歌っていたときに泣きそうになりました」(のぞみ)。

 “Moon base(album ver.)”からの、楽しいスカ・ナンバー“遊星少女マチルガ”は、もえかがコーラスとしてライヴ・サポートしていたSOLEILのサリー久保田が作詞・作曲。そして、まちガともたびたび対バンを行ってきたLiLii Kaonaのソングライター/プロデューサー・三嶋道人による“星ノ栞”では、ソロ・パートを回しながらアーバン・テイストのメロウネスを聴かせる。

 「曲によってスポットライトの当たるメンバーが変わる……っていうのが今回はけっこうあって」(ほのか)。

 「みんなどこかで主人公になってる。3部編成のパートも、普段メゾソプラノ歌っているメンバーがソプラノ歌ったり」(もえか)。

 「曲に合った雰囲気で、組み合わせを選んでいただいて」(さきこ)。

 「そのなかで、特にほのかは、ここぞというところでぐっと引き締めてくれるんです」(もえか)。

 「“星ノ栞”の大サビの前の〈夜空にくちづけを 願い届けて……〉っていうところは、歌い方にけっこう困っちゃったんですけど、もえりんにも相談したりして、大人っぽく」(ほのか)。

 

これをまた超えていく

 ラップも飛び出すエレクトロ・チューン“ブラックホールと太陽”、絶対忘れるなの志賀ラミーが作編曲のポップ・ナンバー“宇宙のしがらみ”と続き、まちガのアートワークも手掛ける高橋祐二(PLASTIC GIRL IN CLOSET)と石田ショーキチによる共作“くじら座のミラ”へ。

 「あったかくて、やさしいメロディーで、この歌が嫌いだって言う人はいないんじゃないかなって思います。誕生星をテーマにしたロマンチックな歌詞もすごく素敵だし、思わず涙しちゃう曲ですね」(ひより)。

 そしてアルバムを盛大に締めくくるのは、石田ショーキチの作詞・作編曲による“オリオンのベルト”。

 「初めて聴いたとき、思わずショーキチPに〈好みです!〉ってLINEしちゃいました。メロディーももちろんきれいですし、ギター・ソロもすごくかっこよくって、バラードだけど激しいバラードみたいな、熱い感じがすごくかっこいいなって思ってます」(あいね)。

 その重要性、意義が薄れつつあると言われる現代において、価値ある〈アルバム〉を手にした彼女たち。丹精込めて編まれた楽曲たちからは、グループが新しいステージに向かおうとしている意気が強く伝わり、そこに愛おしさを感じずにはいられない。

 「いますごくワクワクしています。ライヴのセットリストの組み方も、いままでとはガラッと色が変わると思うので、すごく楽しみで」(ひより)。

 「ライヴで歌っていって音源を超えていくっていうのが私たちのスタイルなので、すごいアルバムができたと思ってますけど、これをまた超えていきます」(もえか)。

 しし座のえりか、おひつじ座のもえか、かに座のさきこ、おとめ座のほのか、ふたご座のあいね、てんびん座のひより、おうし座ののぞみ――燃え盛る7つの小宇宙が眩い光りを放ちながら、いま、まちだガールズ・クワイアの歌声が宇宙を翔ける、希望を乗せて。

 

『オリオン座流星群』に参加したクリエイターの関連作を一部紹介。
左から、石田ショーキチの2020年のシングル“300マイル離れて”(SAT)、矢舟テツローの2021年作『うた、ピアノ、ベース、ドラムス。』(URBAN DISCOS)、microstarの2021年のシングル“日常のSwing”(HIGH CONTRAST/ヴィヴィド)、永原真夏の2018年作『GREAT HUNGRY』(SPACE SHOWER)、サリー久保田グループの2021年のシングル“Romanticが止まらない”(ヴィヴィド)、LiLii Kaonaの2021年作『SHION』(Rain Poets)、絶対忘れるなの2020年作『HYPERFLAT』(ぜわすレコード)、PLASTIC GIRL IN CLOSETの2020年作『DAWN TONE』(SAT)

 

まちだガールズ・クワイアの近作を紹介。
左から、2018年のアルバム『MGC CLASSICS vol.1』、2019年のアルバム『MGC CLASSICS vol.2』、同年のシングル“銀河ステーション”、同年のDVD『町ガ vs 市民ホール THE MOVIE まちだガールズクワイア SUPER LIVE @町田市民ホール』、2020年のシングル“Moon base”、2021年のDVD『STORIES』(すべてSAT)