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悩みや心配事から抜け出して、人を愛すること

――ファーストアルバムからメンバーが入れ替わりましたが、そのことが活動にもたらした影響は何かありますか?

「新たに加入したギタリストのルーク(・ブリケット)は本当に最高なヤツだよ。ニューアルバムを制作するにあたって彼にバンドに加わってもらったんだけど、彼の音楽へ取り組む姿勢や楽観的な性格はバンドに良い意味で大きな変化を与えてくれたね。でも、彼の加入は今までバンドに欠けていた〈作品に深みを与える〉ということに繋がったとも思う。タイトルトラックの“Outside Of The Blue”では彼が大半の音作りを担ってくれたんだけど、彼がいなかったらアルバムのタイトルも違うものになっていただろうね!」

『Outside Of The Blue』表題曲
 

――〈Outside Of The Blue〉というアルバムタイトルにはどのような思いを込めたのでしょうか。

「〈Outside Of The Blue〉というフレーズは、日々の生活の心配事や悩みから解き放たれて、例えば誰かを愛することのような本来人間があるべき精神状態になることを表現するために僕が作ったんだよ。実はこの曲を作る前に僕はパニック障害を患ってしまったんだ。本当にあれは大変だったよ。だけど、そのときに僕のガールフレンドがネガティブな思考から救い出してくれたんだ」

――それは大変でしたね……。新作には内向的な意味合いを持つ曲が多くある一方で、メロディーはそれとは対照的にポップだという印象を持ちました。アルバムの制作の過程でこれらのことは意識していたのでしょうか?

「曲を書くときは大抵いくつかの言葉と一緒にメロディーが浮かんでくるんだ。ほとんどの場合、最終的には形が変わってしまうんだけど、最初に浮かんだアイデアはできるだけ残すようにしていて、後から残りのピースを付け足していくような感じにしているんだ。パズルで最初に角のピースから配置していくのと同じようなものだね。曲のタイトルが内向的な感じがするのは、歌詞の内容からタイトルを決めているからだと思うよ。対照的ということに関して言えば、決して意図して作ったものではないんだ。曲を書く際は特別に何かを意識しているわけではなく、今回も自然に湧き上がってきたものばかりだよ」

――全体的に今作は、これまでのドリーミーで煌びやかなポップスサウンドを継承しつつも、よりダイナミックかつエネルギーに満ちた仕上がりとなっている感じがありました。特に意識されたコンセプトや、目指していたイメージがあれば教えてください。

「ファーストアルバムとは異なるサウンドにはしたかったんだ。前作を作り始めたとき、僕たちはまだティーンエイジャーだったんだよね。リリースから数年経って、僕たちのサウンドやインスピレーション源が変わってきていることに気が付いたんだ。だから、今回は自分たちの個性が表れたサウンドはキープしつつも、その変化に合わせて新作アルバムの曲作りをしたんだ」

――3曲目の“I Believe In Love”からはストーン・ローゼズなどマッドチェスターのバンドのエッセンスを感じました。最近だとパーケイ・コーツがまさにマッドチェスターの要素を取り入れたアルバムをリリースしていましたが、今回のアルバム制作においてそのあたりのサウンドは意識していましたか?

「鋭いね! 特に君が例に挙げたパーケイ・コーツはショーンと僕が大好きなバンドで、彼らが前作に収録した”Wide Awake”(2018年)という曲の、あの90年代っぽいパーカッションやベースラインは“I Believe In Love”をレコーディングするときにリファレンスにしていたんだよね。今回のレコーディングのときにいろいろなパターンのパーカッションやクラップ、ストンピングをみんなでダンスしながら録音して、あのサウンドを作り出そうとしていたんだ。レコーディングのときの楽しい思い出の一つだよ。

あと、僕がストーン・ローゼズを大好きだってことにも触れるべきだよね。若い頃、彼らの音楽に影響を受けてバンド活動を始めたから、彼らから受けた影響は僕たちの音楽――特にギターサウンドに見受けられるのは当然だと思う。子供の頃、夏に家族でバーベキューをしていたときに彼らのファーストアルバムを聴いていたことは今でも思い出すよ」

『Outside Of The Blue』収録曲“I Believe In Love”
 

――10曲目の“Billie”にはユミ・ゾウマのクリスティー・シンプソンがゲストボーカリストとして参加しています。彼女とのレコーディングはどのようなものでしたか。

「クリスティーと一緒にレコーディングすることができて本当に光栄だったよ! 彼女は才能豊かなシンガーだし、僕はユミ・ゾウマが大好きなんだ。クリスティーに歌ってもらえるなんて最高にクールだったよ! 残念ながらクリスティーがボーカルの録音をする日に僕はスタジオに行けなかったんだけど、何も心配はする必要はなかった。何せ、今回ものすごく素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたからね! 間違いなく、この曲のクォリティーをもう一段階引き上げてくれた。

彼女と初めて会えたのは、昨年ミュージックビデオの撮影でイーストロンドンに行ったときなんだけど、とても素敵な人だったよ。アルバム制作するうえでとても助けになってくれたね。彼女がニュージーランドに戻ってからはまだ会えていないんだけど、早く再会できたらいいな!」

『Outside Of The Blue』収録曲“Billie”