イギリスはリヴァプール出身のインディーポップバンド、スピン。スミスやキュアー直系のキラキラと輝く爽やかなネオアコ/ギターポップサウンドが本国はもちろん、日本を含む世界中で賞賛を浴びたデビューアルバムからはや3年、彼らが待望のセカンドアルバム『Outside Of The Blue』をリリースした。彼らの母国イギリスはEUを離脱し、世界ではCOVID‑19のパンデミックが発生。また、バンド内ではメンバーの入れ替わりがあるなど内外で様々なことが目まぐるしく起こったなか、彼らはどのような思いを持ってこの新作を制作したのか。

今回はフロントマンのジョニー・クインにインタビュー。バンドについてだけでなく彼らの愛するフットボールについて、また今のイギリス政府や国内の様子についてなどを話してもらった。本稿を読んで、彼らの新たな一面や今のテンションを感じてほしい。

SPINN 『Outside Of The Blue』 Modern Sky/RIMEOUT(2022)

エヴァートン愛を語る

――バンドがリヴァプール出身ということで、メンバーの何人かはリヴァプールに拠点を置くプレミアリーグのチーム、エヴァートンのファンだそうですね。今シーズンのエヴァートンは好調とは言えず、今年の1月には選手のリュカ・ディーニュが監督のラファエル・ベニテスと喧嘩別れで移籍、その矢先にベニテス自身も解任されたりとドタバタしていましたが、最近のチームをどう感じていますか?

「僕はエヴァートンの大ファンで、生まれたときからのサポーターなんだ。ほとんどのプレミアリーグのファンは知っていることだけど、今シーズンのエヴァートンはイマイチなんだよね。特にベニテスが指揮を執っていた期間は酷いものだったよ。今はあの(フランク・)ランパードが新監督に就任したし、未来は明るいと感じているよ! この取材後にあるFAカップの試合も観に行く予定なんだけど、すごく楽しみなんだ!」

――バンドがエヴァートンのホームスタジアムであるグディソン・パークで演奏しているのを観ました。どのような経緯で行えたのですか。

「あれは本当に光栄だったよ! クラブが僕たちのバンドのニューアルバムのプロモーションのためにグディソン・パークに招待してくれると聞いたときは本当に嬉しかったね! しかも、FAカップでのブレントフォードとの試合のマッチデイプログラムの誌上でも僕たちのことを取り上げてくれたんだよ! あの有名なスタジアムで僕たちが演奏している映像を見て、僕たちの家族もとても喜んでいたから最高だった。特に僕のおじいさんは1950年代からグディソン・パークに通っているから、ものすごく喜んでくれたんだ。本当に嬉しかったね」

スピンがグディソン・パークで演奏している映像
 

――アストン・ヴィラのユニフォームを着ているメンバーがいるのをInstagramで見かけましたが、ヴィラを好きなメンバーがいるのですか? もしそうならヴィラの新監督の(スティーヴン・)ジェラードについて、最近エヴァートンからディーニュが加入したことなど、今のアストン・ヴィラについてどう思っているかを教えてほしいです。

「ドラマーのルイ(・オライリー)だね。彼曰く〈現状はいちアストン・ヴィラのファンとして最高だと思っているんだ。トッププレーヤーたちも次々にクラブに加わっているし、とてもエキサイティングなフットボールを作ろうとしているよね。ディーニュがエヴァートンを離れたのは残念に思うけど、ベニテスと揉めていたのは明らかだったしね。でも、彼がヴィラのユニフォームを着て活躍してくれるのを楽しみにしているよ〉だって」