ファーストEP『Floating Girls』を2022年2月25日にリリースした大阪発〈ポスト・トリップホップバンド〉のTAMIWが、〈移民者ラッパー〉Moment Joonを迎えたセルフリミックス楽曲“HAFU”を発表した。

EP『Floating Girls』にオリジナル版が収録された“HAFU”は、アンダーソン・パークやロバート・グラスパーなどの作品でも活躍するプロデューサー/ラッパーのシャフィーク・フセインが参加していることでも話題となった1曲。このリミックスでは原曲の持っていたダークでインダストリアルな側面は少し抑えられ、温かみと包容力を堪えたサウンドになっている。

また、Mikikiに掲載された『Floating Girls』についてのインタビューでも語られていたように、この“HAFU”は、日韓にルーツを持つボーカリストのtamiがその葛藤を英語で歌った楽曲。韓国出身で日本に暮らす〈移民者〉としての生きる姿や苦悩を綴ってきたMoment Joonが、そこに日本語でのラップを乗せることで、より明確にメッセージ性が打ち出されたと言えよう。

以下に、この曲についてのtami、Moment Joonからのコメントを掲載。

 

TAMIW tami

どちらの国なのか。
私のアイデンティティの根っこのゆらゆら問題はいまだ解決しません。
そして本当は「これが結論です、スッキリしましたね」となることでは無いことも知っています。
私のルーツはどちらにも存在し、どちらにも時には受け入れられ、時には拒絶されたように感じながら、生きていくものなのだと思います。
それらの不安を国という一見確かで、でも不確かな名前で括ってしまうと”ハーフ””クォーター”という言葉が生まれるのでしょう。

こういった心の機微はいわゆる”ハーフ”ではない皆さんにもあらゆる場面で生まれるものなのだと思います。
なのでどうか、自分には関係ないことだな。という気持ちで切り捨ててしまうのではなく、一度この曲を聴いてみてくれたらいいなあと思っています。

TAMIWというバンドは、音楽においても、テーマに関しても本当の多様性を追求する旅の途中です。
音楽を通じてさまざまな視点から物事を覗き込み、理解したいと思っています。
Shafiqと作り上げたHAFUという作品にMoment Joonという新たな価値観や視点が加わることで、さらに嬉しい化学が生まれました。

きっと色々な声・反応があると思いますが、私が初めて完成音源を聴いたときに感じた、Momentさんの声に頭を撫でてもらったような感覚と感動が少しでも伝われば嬉しいなと思います。

時事刻々と目まぐるしく、騒がしく変化していくこの世の中で一人の人間として立ち、生きていくための力を得る方法はきっとたくさんあるでしょう。
私たちの音楽がその力の一部になれたら。それが小さな私、の願いです。

 

Moment Joon

とても素晴らしくて意味深い曲に参加させていただいて本当にありがとうございます。

曲のテーマがデリケートである分、原曲では日本語を使わないなどリスナーとの距離を取る必要もあったかと思います。
ただ、少し気まずいトピックであっても、一度は皆が感じて考えてほしい話だと信じたので、日本語で日本語話者の方々に直接声を伝えるために参加しました。

もう一度素晴らしく、また素直な曲に呼んでいただいて本当にありがとうございます。

 


RELEASE INFORMATION

TAMIW 『HAFU (feat. Moment Joon [TAMIW remix])』 Bigfish Sounds(2022)

 配信URL:https://ssm.lnk.to/HAFU