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インタビュー

cadode「“回夏”は『サマータイムレンダ』の曲だからこそ〈一度きり〉を歌いたかった」

3人が語る〈廃墟系ポップユニット〉の挑戦と哲学

(左から)eba、koshi、谷原亮

〈廃墟系ポップユニット〉というコンセプトを掲げて、ボーカル・音楽プロデューサー・ゼネラルマネージャーの3人という異色の編成で活動するcadodeが、2022年4月27日(水)にシングル『回夏』でメジャーデビューを果たす。表題曲“回夏”は、4月14日に放送が開始したTVアニメ「サマータイムレンダ」のエンディングテーマとして書き下ろされたもの。同パッケージに収録される“光”も、cadodeの人気曲のひとつである“カオサン通り”の新アレンジバージョン“カオサン通り(band)”も、cadodeというユニットのアイデンティティーが色濃く出た作品として完成している。

cadodeの音楽プロデューサーでありすべての楽曲を作曲しているのは、OLDCODEXやLiSA、Rain Drops、葛葉などの数々の人気曲を手がけているeba。大衆音楽を作ってきた腕を奮いながらも挑戦的なサウンドメイクを施したトラックに、ボーカルのkoshiが歌詞を乗せる。

koshiは高校生の頃の経験をきっかけに、人間の美しさや愚かさについて考えるようになり、〈なぜ僕らは生きているのだろうか〉といった死生観と向き合い続けている人物だ。そんな彼が綴る哲学的な歌詞は、cadode音楽の中で人間の普遍的な行動や感情の描写へと昇華されており、その歌に救われる人も多いだろう。

今回は、“回夏”のことはもちろん、そもそものcadodeの成り立ちから、日本の音楽シーンにおいては珍しい要素や手法を取り入れながらもポップスに仕上げるebaのサウンドメイク、そして、koshiの人生や過去に対する捉え方と、死生観に興味を持ち始めた背景について、深く語り尽くしてもらった。その会話が行き着いた先は、〈人間にとっての快楽とは創造すること〉というテーマだ。

 

社会への違和感に悩むkoshiと創作意欲を持て余したebaの出会い

――まずcadodeの成り立ちについて伺えればと思います。2017年にebaさんとkoshiさんがカラオケへ行った際に、koshiさんの声がよくてebaさんから〈何か一緒にやらないか〉と声をかけたそうですね。ebaさんは作家としてOLDCODEXをはじめとした錚々たるアーティストの作品に関わっていらっしゃったと思うんですけど、当時はどういう心境だったんですか?

eba(ミュージックプロデューサー)「仕事でできない音楽をやる場がないなと思っていたんです。オーダーを受けて作ることでは発散しきれないエネルギーが溢れ出る感じだったので、自分発信で何かをやれる場が欲しいなと思っていたんですね。だからcadodeをやるにあたってひとつ決めていたのは、仕事でやってないこと、やれないような音楽をやるということでした」

――仕事でやっている音楽とは、言語化するとどういうものですか。

eba「アッパーなアニソンやロック、ギターがめっちゃ歪んでたりする音楽ですね。そういう音楽も大好きだし、それは仕事でやれていて楽しくて満足できているので、そうではなくてギターが歪んでない音楽とか、やったことのない、〈もしかしたら自分は苦手かも〉って思うようなことをやってみたいなと。色々新しいことをしていきたかったんです」

――そういう中で、koshiさんはebaさんから声をかけられて……当時は会社員だったんですよね?

koshi(ボーカル)「もう辞めてたっけ(笑)?」

eba「多分、休職中だった気がするけど、cadodeを始めるから辞めたわけではないんだよね」

koshi「そうです。社会人1年目で、IT企業の会社員を一応やっていたんですけど、合わなかったのか心身ともにやられてしまって。心身を崩して仕事を続けられなくなったあたりに、ebaさんとちょうどそういう話になったのかな」

――就職されて、何が合わなかったんだと思いますか?

koshi「満員電車ですかね(笑)。渋谷へ行く満員電車に耐えられなくて。

自分の感情としては、ずっと仕事に前向きだったんですよ。でも、身体と心がいつの間にか蝕まれていたのか、あるとき、真夏なのにすごい寒気を感じて。自律神経がおかしくなって、かなり頻繁に眩暈がして、動けなくなっちゃったんです」

――同じような格好をした人たちが同じ時間帯の電車に無理やり乗り込んで移動している光景って、ある意味異常だなとは思いますね。

koshi「cadodeの初期の曲には、そのあたりの僕の率直な気持ちとか強烈な違和感みたいなものが表れていると思います。みんなが自分の可能性を押し込めてしまっている気がするんです。

僕はまず、人が10人以上いるのがダメで。ライブのときはいいんですけど。すべての情報を受け入れすぎちゃって、都会を歩いてるだけでもすごく疲れるんです。そもそも会社そのものが向いてなかったのかもしれないし、〈合わなかった〉が全部なんじゃないですかね。今思えば全部がしんどかったんだと思います」

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