シュターツカペレ・ドレスデンの首席オーボエ奏者、モワネがこのフランス・プログラムでいざなう、隔絶した音空間に身をひたすことの快さ。コールアングレを用いたトラックも交え、輪郭鮮やかな響きを主体に柔らかなダイナミクスのコントロールが高度に行き届いた演奏を堪能する。冒頭プーランクのソナタ、特に第3楽章での深沈とした美。“クープランの墓”ではメヌエットがやはり印象的。サン=サーンス最晩年の珠玉のソナタも絶品。プーランクの豊饒な室内楽の宝庫からのトリオ、ドビュッシーの若書き作品から編じた最後のトラックではウィーン・フィル首席のデルヴォーが加わり、空間を満たす響きの明滅に陶然となる。