早熟の天才が突如現れることはままあれど、この2000年生まれのフランス人キーボーディスト=ドミと、2003年ダラス生まれのドラマー=JDベックによるエクスペリメンタル・ジャズ・バンドの超絶テクはすでに至高の域だ。ドラムンベース並みの性急なリズムを正確に叩きつつ、ビートメイカー視点のようなズレとタメのグルーヴも操るドラムの主役感がものすごい。変拍子や忙しい転調もテク自慢に陥らず綺麗にまとまっているのは、メロウなキーボードのおかげでもあるだろう。アンダーソン・パーク主宰の新レーベル及びブルーノートからのデビューという事実や、客演にサンダーキャットや御大ハービー・ハンコックらを迎えていることからも大型新人ぶりは窺えるが、その期待に見事応える一作だ。