マルクス・ティール「マリス・ヤンソンス すべては音楽のために」現代指揮者のチャンピオンに密着、人間性と秘密に迫るファン必読の一冊

マルクス・ティール , 小山田豊 『マリス・ヤンソンス すべては音楽のために』 春秋社 (2022)
2022.10.12

「ぼくがいつも気をつけているのは、スタイルに合わせて、つまりその時々の作曲家の持ち味にあわせて演奏しなきゃいけないということです」。このように語るヤンソンス(1943~2019)は、指揮者が以前の「壇上の支配者」から「同輩中の第一人者」へと変化した現代指揮界のチャンピオンだった。ここでは晩年の彼に密着取材した著者が、彼の生涯を膨大な資料とともに克明に追いつつ、彼の実直で謙虚な人間性、そして情熱と直感をもって曲に向き合い、「堂々とした、嘘の無い表現」を志向した音楽性の秘密に迫っている。オスロとミュンヘンでの新ホール建設を巡っての当局との戦いも活写され、ファン必読の内容だ。