ヤンソンス死去後にまとめられたバイエルンとの大冊エディション、そこから切り出された交響曲全集(第1番~第9番)でしか聴けなかった第3番が単売とあって、その感銘深い演奏をより広く聴いていただけたらと思わずにはいられない。マーラー生誕150年の2010年、特に愛着を示していた第3番を繰り返し取り上げている。当時、コンセルトヘボウ管、バイエルン放送響両方の常任を務め、マーラーに深くコミットしていただけに、残された音源のことごとくがマーラーを奏でる喜びで横溢していた。記念年の大詰めでのバイエルンとの演奏、一点の揺るぎもない筆致がまさに白眉というべき終楽章で最高度に達する。