分厚い弦楽合奏が名オペラ・アリア《花の歌》を奏でるアダージョが心に残る名演。シチェドリンがバレエ上演のためにビゼー「カルメン」をもとに編曲したこの曲は、弦楽と打楽器を効果的に使用して滅法面白い。鐘による《ハバネラ》や茶化したような《衛兵の交代》など、一味違うカルメンの音楽を堪能できる。バイエルン放送交響楽団とマリス・ヤンソンスの組み合わせで聴くそれは、バレエ伴奏の域を超えた純音楽的な超絶した名演となっている。一緒に収録されたレスピーギは速く弾き流されてしまうフレーズが耳に届き新鮮。通俗名曲でも真摯に楽譜に対峙した亡きヤンソンスの晩年の至芸を堪能できる。
マリス・ヤンソンス(Mariss Jansons)&バイエルン放送交響楽団『シチェドリン:カルメン組曲/レスピーギ:ローマの松』晩年の至芸を堪能できる名演
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