充実の時を迎えるドイツの名花の《4つの最後の歌》。続いてピアノ伴奏で遺作の《あおい》を挟み《おとめの花》から幻想的な雰囲気を持つ傑作《3つのオフィーリアの歌》へと繋ぎます。ダムラウはシュトラウス独特の息の長いフレーズを高い技術と彩りのある豊かな表現を生かした歌唱が素晴らしい。ドイチュのピアノはリートの名手ならではでさすが。ラストはオケ版の《明日の朝》。儚げな美しさが印象的な名曲がいつもに増して胸に迫るのはこの録音の後、惜しまれながら世を去ったヤンソンスの指揮だからでしょうか。精神的、内面的な面を表現している曲が多い今回のプログラムを収めるのにふさわしい。