インタビュー

オルガニスト中田恵子が語る、鎌倉雪ノ下教会で録音した礼拝のようなオール・バッハの作品集『Pray with Bach』

©Shinya Fukumori

鎌倉で録音されたオール・バッハ

 フランス、ベルフォールの教会で録音された前作『Joy of Bach』が高く評価されたオルガニスト・中田恵子が2枚目のアルバム『Pray with Bach(バッハの祈り)』をリリースした。やはりオール・バッハの作品集だが、『オルガン小曲集』から選曲された18曲を中心に、2曲の“前奏曲とフーガ”、そして“トッカータとフーガ”で締めくくる。

 「録音のひとつのきっかけはコロナ禍でした。オルガニストを務めている鎌倉雪ノ下教会でも礼拝はオンラインになり、そこでもオルガンを弾いていたのですが、どうしても音が聞こえづらい、生のオルガンの音が恋しい、という声もたくさん頂きました。そんな時期に、この教会のオルガンを使って録音しませんかという提案を頂いたので、ぜひ!と答えました」

中田恵子 『Pray with Bach』 キングインターナショナル(2022)

 アルバムの収録曲のアイディアに関しては、中田はこう語る。

 「バッハの『オルガン小曲集』は教会の奏楽でもよく弾いている作品で、しかもイエスの生涯、教会暦、礼拝に連なる信者の内面などを表したコラールが元になっています。そのコラールの歌詞の世界観が、バッハによって1ページほどのオルガン曲に凝縮されているという魅力があります。それを多くの方に届けたいという気持ちから選曲しました。そして、前後をバッハの書いたオルガン自由曲で挟み込むと、よりオルガンの魅力が伝わり、また全体が礼拝的な印象となるかと思いました」

 もうひとつの注目点は、斎藤啓介(アルトゥス・ミュージック)によるワンポイント録音だろう。

 「録音ポイントが決まるまでに何回かテストを行いましたが、教会の一番前の席に座った方の耳の位置に置くのが、最も自然に聞こえるという判断になりました。録音を聴きかえすとオルガンの音が上から降ってくるかのように聴こえるかと思いますので、それも楽しんで頂けたら嬉しいです」

 東京女子大学を卒業後、東京藝術大学に入り直し、オルガンを専門的に学んだ中田。

「大学時代に触れたパイプオルガンの音に魅了されてしまい、いったんは社会人となりましたが、東京藝大を受験し直しました。その受験の時にも『オルガン小曲集』は課題曲でした。それぞれが短い作品ではあるのですが、ひとつとして同じ物が無いような個性を持っていて、やはりオルガニストを目指す人がまず取り組まなければならない作品でもあるのです」と語る。神奈川県民ホールのオルガン・アドバイザーとして2021年から活躍中なので、その活動も注目してほしい。

 


LIVE INFORMATION
パイプオルガン・プロムナード・コンサート
クリスマス・スペシャル

2022年12月25日(日)茨城 水戸芸術館エントランスホール
開演:13:00

C×C(シー・バイ・シー)作曲家が作曲家を訪ねる旅Vol.4
酒井健治×ジェルジ・リゲティ[生誕100年]

2023年1月14日(土)神奈川・横浜 神奈川県民ホール 小ホール
開演:15:00

オルガンavecバロック・アンサンブル
2023年2月11日(土・祝)神奈川県民ホール 小ホール
開演:15:00
http://keikonakata.starfree.jp/

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