透明感のある瑞々しいピアノの調べと、鳥の鳴き声のようなフィンガーノイズのような発声で幕を開ける美と奔放の極み。アンドレ・メマーリを引き合いに出されることも多くパスコアールとも通じるリリカルなピアニスト、エンヒキ・アイゼンマンの、間の捉え方や声に対する想像力に富んだレスポンス、そしてその早さも驚愕だが、とにかくリヴィア・ネストロフスキーのスキャットを多用した歌唱が凄まじく、というかもうこちらが思う歌さえ彼女にとっては枠でしかないのかもしれず、まるでパルクールのような自由自在さで、音楽の中で表現出来る声の可能性を最大限(としか思えない)引き出した恐るべきデュオ作品。