演奏時間50分超えのゆったりしたテンポながらもどこにも弛緩が無い、見事な演奏を披露。1985年のベルリン・フィルとの旧録音でも開放的で力強い表現であったが、今回の演奏はさらに上を行った感がある。どこまでも平穏な家庭など無いとは言え、メータが描く像は恐らく希望と受容、そして永遠というテーマが重要な要素なのだと理解。なかなか終わらない終結部は間延びした演奏も多い中、テンポが遅いにも関わらず、メータだと長いと感じさせないばかりか、いつまでも続いて欲しいと思わせる力がある。新しいホールで収録された音は、音像が小さく緻密でホール全体が鳴っている録音。まだ試行錯誤を感じさせるが今後も期待。