ドラマー、セバスチャン・ロックフォードが作曲し、ピアノのキット・ダウンズと演奏したとても慎ましく、温かい音楽が聴こえるてくる。キース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンのデュオを思い出した。アルバムは、セバスチャンが詩人である父の死を機に、彼の家族のために書いた曲で構成されていて〈音の記憶〉と彼は言う。キットの弾くピアノは、こじんまりとした響き、まるでアップライトのようだ。キットは教会のオルガン、トリオやソロで弾くスケールの大きい音楽を演奏する印象があるが、フィドラーのアイダン・オルークとのプロジェクトでは、同様に物語を囁き合うような音楽が聴こえる。人の距離を近づける音楽が再び聴こえ始めた。