70年代ソウルなどをベースに、学究肌なこだわりも感じさせるマルチ奏者/シンガーのフルサイズの2作目。国内外で評判のウェルドン・アーヴィン“I Love You”の日本語カヴァーを含み、同世代の演奏家たちの力も借りながら、エレピの音色が芳しい“つむぐように(Twiny)”やホーンを入れた“Baby So in Love”などをマイルドな声で歌うライトメロウ感は、居心地の良いソウル・バーの選曲に身を委ねているかのよう。アラン・トゥーサンを思わせる緩めのファンク“アーケードには今朝の秋”を含め、かつて米国音楽を参照して都会派ポップスを作ったティン・パン・アレー周辺のセンスも引き合いに出したくなる作品だ。