レヴィンがクリストファー・ホグウッド&AAMとオワゾリールで始めたピアノ協奏曲全集録音は、1993年に始まり1998年を最後に計8枚が出されて中断する。後年タワーレコードが初めて7枚のセットにまとめ、革新的創意に満ちた全貌が明らかとなった(廃盤)。楽器の選択、即興性の追究など、レヴィンの予見的意図はその後の〈歴史的知見に基づく演奏〉の潮流へ紐づいていく。亡くなったホグウッドをエガーが引継ぎ、2024年完成を目指して残る5枚の録音計画(装画はパウル・クレー)が、過去作含め丸ごとブックレットで確認できる。ECMへのソナタ全集と共にレヴィンのモーツァルト研究・実践を集大成する再開だ。