
いろんなものにキスしたり
――で、文字通りの『FiRST ALBUM』が完成しました。幅のある内容になっているので、曲ごとに伺いたいと思いますが、まずオープニングは原田茂幸さん作の“KiSSES”です。
ナス「いちばん最初にいただいた曲で、イントロから凄くポップだし、キャッチーなフレーズも多くて、テンポ感も含めて何度聴いても飽きない感じ。グループを代表するような曲です。MVのセットもホントにかわいい空間で、衣装と別の私服っぽい衣装にお着替えさせてもらったり、キス顔にみんなで挑戦してみたり、THE正統派アイドルのMV現場って感じがしてちょっと興奮しました(笑)」
――MVもKiSS KiSSならではですね。砂丘を歩いたりしないし。
ノン「廃墟で踊らないし(笑)」
――2曲目も原田さんによる“雨天決行”ですが、こちらは勇ましい雰囲気です。
ナルハ「アルバムの中でいちばん疾走感があって、こういう曲もできるのが嬉しいです。KiSS KiSSの曲をよくシャッフルで聴くんですけど、“雨天決行”のイントロが流れてくると毎回〈お~!〉って感じになります(笑)。振付けはセイがやってくれて、他の曲と比べても全身で動く系のダンスなので観てもらいたいです」
ナス「泥臭さがあるというか、〈いくぞ!〉って気持ちが締まる曲です」
――続いてはTogoさんによるポップな“わんわんおーらぶ♡”。メイさんの歌詞もユニークですね。
メイ「ちょっと変わった感じにしたくて、テーマを決めるまで時間がかかったんですけど、〈犬の気持ちで書いてみよう〉ってノリで書きはじめたら歌詞がどんどん出てきました。自分と飼い主しかいない世界で、その人のことが好きで好きでしょうがないみたいなところが犬のかわいさかなと思って、その一途な気持ちを女の子の恋心に重ねています。振りも私が付けて、とにかく犬っぽい簡単な振りをいっぱい入れました(笑)」
――ご自宅に犬はいるんですか?
メイ「いないです。実家に猫がいるので、どっちかって言うと猫派(笑)。犬のことはすべて妄想です」
ナス「これって犬の気持ちってか自分の気持ちだよね?っていうぐらい、普段のメイちゃんの感じがする(笑)」
――ガヤとかセリフもかわいくて。
ベビ「アドリブで入れました」
メイ「アイドルっぽいですよね(笑)」

――続いてのトロピカルな“KiSS KiSS SUNSET”はアイナ・ジ・エンド(BiSH)さんの作詞作曲で。
セイ「振付けやヴォーカルのディレクションまで全部に関わってくださって、まず仮歌を聴いた時に〈うわ~、アイナさんだ~〉って思いました。アイナさんも〈自分では歌えないから〉って言うぐらいのかわいい曲を私たちのために作ってくださったので、曲の世界観を表現できるようにがんばりました」
ベビ「歌うパートの振付けも〈キャラの良さをうまく引き出したい〉ってその場でメンバーに合わせて考えていただいて」
ナス「良いところはめっちゃ褒めて伸ばそうとしてくださるし、〈ここが足りてないよ〉っていうのもハッキリ伝えてくださって。お忙しいのに、一人一人に丁寧に向き合ってくださって嬉しかったです」
――貴重な経験になりましたね。で、次の“フランケンシュタイン”は曲もセイさんの詞も独特の怪しさがあります。
メイ「セイの歌詞がホントに好きで。作詞していた時に私も一緒にいたんですけど、〈仮歌のサビの頭がどうしても“フランケンシュタイン”にしか聞こえないんだけど、どうしよう!〉って言われて」
セイ「そうだ、メイちゃんといた」
メイ「そしたら“フランケンシュタイン”で採用されていて、フランケンシュタインに負けないぐらいのパワーワードが散りばめられていて。聴いてても楽しいし、ナスの作った振りも楽しくて好きです」

――セイさん単独では初作詞ですね。
セイ「はい。めちゃくちゃ嬉しかったです。これは〈フランケンシュタインのショータイム〉を物語っぽく書いてみました。人間を自分の世界に迷い込ませて、おかしくしちゃうっていうストーリーで」
ナス「そうなの? 振付け前に教えてよ」
ノン「でも、そういう振付けだよね」
ナス「そう、魔性の女が館に人を招き入れるようなコンセプトで、最後は館に閉じ込めるっていう(笑)」
メイ「人間を引きずり込んでる」
――ちゃんとセイさんのワールドに繋がってましたね。
ナス「良かったです、感覚一致で」
――はい。そしてYohji Igarashiさんによる問題作“KiSS KiSS KiSS”ですね。
ノン「これもMVを撮っていただいたんですけど、“KiSSES”のMVが王道だったので、〈あっ、2本目がこれなんだ〉って(笑)。MVではいろんなものにキスしたり、好き勝手にやらせてもらいました。渡辺さんはサビをカラオケとかのコールで流行らせたいそうです(笑)」
――かわいくない(笑)。
ノン「KiSS KiSSになって〈ちょけて逃げちゃいけない〉っていうのがあるなかで、この曲だけはちょけ全開でいいのが心の救いです(笑)」