PANTAが本日7月7日に死去した。

PANTAこと中村治雄は1950年、埼玉生まれのミュージシャン。本日10:44、肺癌による呼吸不全と心不全で亡くなったことが、PANTA/頭脳警察のInstagramおよびTwitterで発表された。

PANTAは、69年にTOSHI(石塚俊明)らとロック/フォークバンドの頭脳警察を結成、72年にアルバム『頭脳警察1』でデビューした。同作のジャケットは3億円事件の犯人のモンタージュ写真を用いたものとして有名で、政治的・社会的な歌詞などが問題視されてレコード会社による自主規制で発売中止に。その後、同年の次作『頭脳警察セカンド』も収録曲が放送禁止になり、回収・発売禁止になった。

頭脳警察は、反体制的でラディカルな歌詞や、ライブでマスターベーションをするなどの過激なパフォーマンスなどで〈若者の叫び〉として厚い支持を得たものの、6作目の『悪たれ小僧』(74年)をリリースしたのち、75年に解散した。90年に一度再結成したほか、2000年代以降はアルバム『俺たちに明日はない』(2009年)のリリースやライブをおこない、映画「ドキュメンタリー 頭脳警察」(2009年)も公開された。

頭脳警察の解散後、PANTAは、ソロやバンドのPANTA & HAL(77~81年)で活動。PANTA & HALでは鈴木慶一がプロデュースした『マラッカ』(79年)、『1980X』(80年)という2作、あるいはその後の『クリスタルナハト』(87年)などのソロ作でパンクからニューウェーブ、ソウル/ファンク、フュージョン、レゲエ、ラテン音楽まで、幅広い音楽にアプローチし、その詩情やメッセージ性とともに高い評価を得た。

その後のPANTAは、荻野目洋子、チェッカーズ、沢田研二といった歌謡曲歌手/アイドルへの楽曲提供やプロデュースなどをおこなっている。さらに、「稲村ジェーン」(90年)、「沈黙 -サイレンス-」(2017年)など、俳優として出演した映画も多い。

PANTAは、2021年10月に肺疾患の療養をおこなうため、一時的に活動を休止していた。2022年に活動を再開したが、2023年2月に緊急入院、肺癌であることを発表した。5月には、退院とリハビリをおこないながらライブに復帰することを告げていた

頭脳警察や鈴木とのP.K.O(Panta Keiichi Organization)での活動を続けていた最中の死に、ファンの間では悲しみが広がっている。その肉体は失われてしまったが、〈ROCK屋〉の熱い魂は永遠不滅だろう。〈どうぞ安らかに〉という言葉はPANTAにふさわしいように思えないが、今は慎んで哀悼の意を表したい。