2023年も残りわずかとなりました。今年は、音楽史に大きな足跡を残したミュージシャンやアーティストが数多く旅立ち、特に大きな衝撃とともに深い悲しみに暮れるような訃報が多かった年だったと言えるのではないでしょうか。そんな2023年の振り返りの一環として、彼らの功績をたたえ、後世に残されたマスターピースを振り返ってみましょう。洋楽編は別の記事で掲載し、こちらでは邦楽編として国内のアーティストを取り上げました。
チバユウスケ
68年7月10日生まれ、神奈川県藤沢市出身のミュージシャン。
大学在学中にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを結成。モッズスーツを纏い、70年代のパンクやブルース、R&Bから影響を受けたパブロック/ガレージロックの流れを汲むロックンロールの音楽性で注目を集め、96年にシングル“世界の終わり”でメジャーデビュー。
その後、98年に豊洲で行われたフジロックフェスティバルの出演や、アメリカやイギリスへのツアーも敢行して、その人気を確固たるものにしていく。2003年6月、テレビ朝日「ミュージックステーション」に初出演した際に、t.A.T.u.のボイコット事件による時間の埋め合わせで、急遽追加で曲を披露したことも話題となった。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTは、2003年9月に解散を突如発表し、2003年10月に解散した。
2001年にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTでの活動と同時並行で、元BLANKEY JET CITYの照井利幸から誘いを受け、ROSSOを結成。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの解散後に活動を本格化させる。一方、この期間も覆面バンドTHE MIDWEST VIKINGSやイマイアキノブとのユニット・Midnight Bankrobbers、大沢伸一とのStar Casinoなどでも活動を行った。ROSSOは、2006年にサードアルバム『Emissions』をリリースしたのち活動休止。
その後、イマイ、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのクハラカズユキとともにThe Birthdayを結成し、24枚のシングル、11枚のアルバムをリリースした。また、ソロプジェクトのSNAKE ON THE BEACHでも活動した。
2022年には、映画「THE FIRST SLAM DUNK」のオープニング主題歌“LOVE ROCKETS”も大きな話題となった。
2023年4月に食道癌の治療のため休養に入ったものの、11月26日に死去。55歳没。
KAN
62年9月24日生まれ、福岡県福岡市出身のシンガーソングライター。本名は木村和(きむらかん)。
幼少よりクラシックピアノを習う。大学卒業後、大林宣彦監督「日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群」(88年)の音楽を担当したのち、87年にシングル“テレビの中に”でデビュー。
90年9月に8枚目のシングル“愛は勝つ”をリリース。91年1月からフジテレビ系「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」の第3期エンディングテーマに起用されたことで大ヒットし、またロングヒットを記録した。その後も三ツ矢サイダーのCMのイメージソング“まゆみ”など、ヒット曲を生み出していく。
ビートルズやスティーヴィー・ワンダー、ビリー・ジョエルなどからの影響が色濃く出た楽曲も多く、特にビリー・ジョエルについては“愛は勝つ”での“Uptown Girl”、“KANのChristmas Song”での“The Longest Time”などに強く表れている。メロディメイカーとして名を馳せ、ソロのほかユニットでの活動や数多くの楽曲提供でも活躍した。
2002年に渡仏し、ピアノの基礎を学びなおすため、フランスの私立音楽院へ留学。2004年の帰国後は、ツアーやライブを精力的に行い、事務所の後輩にあたるアイドルのこぶしファクトリー、Juice=Juiceへの楽曲提供も行っている。
2020年の『23歳』まで、17枚のオリジナルアルバムを発表した。
2023年にメッケル憩室癌を公表、療養していたが、11月12日に死去。61歳没。