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サイン会も鋭い眼光で

ポンチャックDJタイムから自然な流れで、アルバムのキラートラックにして、〈アーティスト・250〉の存在を世に知らしめた“Bang Bus”のトラックが流れ、再び250がキーボードに手を伸ばす。すべての音が、リズムが、踊るための神経をくすぐってくるような衝動に満ちている。車のクラクションによるドロップ&ビルドでフロアーが爆発する。

2022年作『Ppong』収録曲“뱅버스 (Bang Bus)”

終演後、Altzによる、平日であることを完全に忘れさせる開放的なDJをバックに、物販スペースにて250本人によるサイン会&撮影タイムに。筆者もCDにサインを求めると、黒いジャケット(正確には、ジャケットを覆うように配置された大きめの帯)に黒いペンでサインした後、これでは見にくいと、白いスペースにサインし直す250。この間も250は演奏中と全く同じ真剣な表情で、その眼光は、CIRCUSを後にし、フェリーで帰宅しながらこの文章を書いている現在も、いつまでもいつまでも鋭く光っている……スコ・スコ・スコ・スコ……と、あの無限に刻まれるビートと共に……。

 


PROFILE: 250 (イオゴン)
韓国のプロデューサー/DJ。ジャンル音楽としてのポンチャックのルーツでもあり、韓国大衆音楽の底流に脈々と息づいてきた〈ポン〉なるものを探究しながら、 究極的には様々な世代を一つにするダンス音楽を目指し、4年の歳月を費やして完成させたデビュー・アルバム『Ppong』を2022年3月にBANAからリリース。NCT 127、ITZY、BoAなど、K-Popの楽曲プロデュースでも知られ、2022年8月にHYBE傘下の新レーベル、ADORから電撃的なデビューを果たし、 世界の音楽シーンを席巻しているガールズグループ、NewJeansを手がけて絶賛を浴びた。第20回韓国大衆音楽賞では『Ppong』により〈今年のアルバム〉〈今年の音楽人〉〈最優秀エレクトロニックアルバム〉〈最優秀エレクトロニックソング〉の4冠を達成、さらにNewJeansが〈今年の新人〉〈最優秀K-Popアルバム〉〈最優秀K-Popソング〉の3冠を達成するなど、名実ともに2022年の韓国ポピュラー音楽を代表するプロデューサーとなった。