デビュー45周年を迎えたサザンオールスターズが、3ヶ月連続配信の第2弾となる新曲“歌えニッポンの空”をリリースした。青空の下、スーツ姿の5人が和やかな表情を見せるアートワークは、猛暑が続く日本の夏に爽やかな風を吹かせる。日常を生きる人々へ、サザンからのエールと感謝が込められた楽曲だ。
サザンが描く〈ニッポンの空〉には、一体どんな景色が広がっているのか。7月にリリースされた第1弾“盆ギリ恋歌”に続いて、音楽ジャーナリストの原田和典が深堀り。 *Mikiki編集部
〈連続リリース〉で蘇る、デビュー間もないサザンの言動
“盆ギリ恋歌”の余韻が残るなか、サザンオールスターズの新曲“歌えニッポンの空”が届いた。デビュー45周年を記念する、3ヶ月連続配信リリースの第2弾だ。このハイペースぶりが嬉しい。
と同時に、あることを思い出す超古参リスナーもいるかもしれない。ここで思いっきり時計の針を戻すと時は79年、デビュー2年目のサザンは破竹の勢いの若手バンドだった。〈テレビ出演拒否が美学〉的なミュージシャンも少なくなかったころ、サザンは積極的に画面ごしにも自分たちの魅力をアピールした。ソロシンガーには当然ながら求めることのできない、バンドならではのワチャワチャした感じを、お茶の間へと放出していた。
だが、“いとしのエリー”の記録的な大ヒットもあり、多忙が極まったのか、〈向こう半年の間、テレビ番組には出ず、楽曲制作やレコーディングに専念する〉と発表。その間、ニューシングルが毎月リリースされ、渇きを癒した。“恋するマンスリー・デイ”、“いなせなロコモーション”などはこの期間(2曲とも80年リリース)に発売されたナンバーだ。
あの連続リリースが、いわば〈しばらくスタジオにこもっていますが、ぼくらは元気にやっていますよ〉と、〈動くサザン〉を待ち望むファンに向かって元気をアピールするものだったとしたら、今回のそれは、日一日と近づいている〈茅ヶ崎ライブ2023〉を、さらに楽しみにさせるものといっていいはずだ。