Photo:KIOKU Keizo

 

1「好奇心のあじわい」

 ある日、ふと見上げた木の枝にぶら下がる、見たこともない果物を発見して、それがどうしても気になって手づかみで食べてしまったこと、ありますか? 安全でおいしい食事を楽しめる都会に住むあなたは、周りの目も気になるからまずそんなことはしないでしょう。ところが、それから三日ほど経った夜「もし食べていたらどんな味がしたのかな...」 舌と瞼に、こんな妄想が繰り返し訪れてはあなたを後悔させることになるかもしれません。そんな記憶の中の「好奇心のあじわい」とは、どんなものでしょうか。

 

2「好奇心のミュージアム」

 15世紀頃から18世紀にかけて貴族達が好奇心のおもむくままに新奇なものや珍品を陳列した「驚異の部屋」が、やがて後の博物館や美術館へと変化していったと言われています。こうした視覚的体験が知の領域を広げていったように、未知の食材に出会うたびに犠牲を払いながらもそれを口に入れ、食の領域を拡張して来た味覚的体験もまた、展示として表現できるかもしれない。金沢21世紀美術館で開催されている展覧会「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム」は、そんな考えのもと私たちフードクリエイションと東京大学総合研究博物館が中心となり、ものを集め、並べ、眺め、触れ、あじわうことの面白さとその意味を問いただそうという試みです。

 

3「好奇心をあじわう小部屋」

 見るだけではなく、食べて感じる展覧会を作り上げるために、まず私たちは2014年4月からプログラム・メンバー(通称:テイストハンター)と一緒に好奇心を掻きたてる食材(実際には食べられないものも含む)を探しに海へ野山へと出かけました。その食材を段階的に展示していくのが「好奇心をあじわう小部屋」です。ここでは週末だけ扉が開き「本日の好奇心」というメニューを来場者が実際にあじわうことが出来る「あじわいの体験」が行われています。フードクリエイションにとっても一般の方々と一緒に作品を創るのは初めての経験でしたが、このワークショップを通じて「食べて感じる展覧会」の可能性は大きく広がり始めました。

 

4「好奇心の祝宴」

 そして2014年10月に開館10周年を迎える金沢21世紀美術館で入場無料という初の試みのもと、6つの展示室に規模を広げて行われるのが「好奇心の祝宴」です。学術標本のミュージアムコレクションの新しい価値に着目する東京大学総合研究博物館による「驚異の部屋」。 そしてフードクリエイションによる神出鬼没のあじわいの体験「ゲリラレストラン」が融合する、 自分の眼と舌を使って体感する展覧会です。この「好奇心の祝宴」は10月13日で終了しますが、それ以降は美術館の外へと活動を広げ、街中でもゲリラレストランなど、あじわいのプログラムを展開する予定です。

 あなたが未知のあじわいへの一歩を踏み出す時、きっと背中を押すのは「好奇心」です。 そしてフルコースの最後にはまだ見ぬ「進化」が待っているはず。 さあ今度こそ、どうぞ手づかみで召し上がれ。

www.foodcreation.jp

 【参考動画】food creationによる〈food creation work 2011〉

 

 

EVENT INFORMATION

〈好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム〉
フードクリエイション+東京大学総合研究博物館
Taste of Curiosity――Museum Of Curiosity
food creation + The University Meseum. The University of Tokyo
2014年4月26日(土)―2015年3月31日(火)

〈ゲリラレストラン等パフォーマンス〉
Performance etc.
2014年4月26日(土)―2015年3月31日(火)
●好奇心のテイスティング
日時:11月、2015年2月頃
会場:金沢市街
※日時内容等は変更になる場合があります。詳細はウェブサイトで発表いたします。

お問合わせ:金沢21世紀美術館
tel. 076-220-2800 http://www.kanazawa21.jp/

主催:金沢21世紀美術館 公益財団法人金沢芸術創造財団
協賛:MAD SCIENTISTS PTE LTD.
協力:ウシオライティング株式会社、株式会社ウーレン、小田朋美、株式会社雪花、SOMARTA、株式会社大洋工芸、株式会社灯工舎、ドローイングアンドマニュアル株式会社、ニッコー株式会社、株式会社畑中、株式会社 福光屋、北陸製菓株式会社、北陸コカ・コーラボトリング株式会社、株式会社ポイントオブビュー        
本事業は宝くじの助成を受けて実施しています