再びジャズの最前線へと進み出たブルーノートが送り出す刺客こそ、エスペランサのバックを務めたドラマー=オーティス・ブラウン三世です。50~60年代あたりの雰囲気を如実に感じるクラシカルなデザインのジャケットに寸分違わず、ここで展開されるのはブルーノート独自の〈スマートでクールなサウンドによるジャズ〉に他なりません。しかしながらスモーキーな音響やハーモニーの感覚にはまさしく現代性が息づいており、正真正銘の〈過去と現在の融合〉と言える決定的名盤です。グラスパーやホセ・ジェイムスの先鋭性に不安を覚えた方も、本作にはドはまりすること間違いないでしょう。


 

エスペランサやテレンス・ブランチャードらを支えてきたドラマーが、デリック・ホッジやロバート・グラスパーら同世代のサポートを得てブルー・ノートから放つ初リーダー作。さまざまに刻まれる手数の多いドラムを軸にしてクィンテットが丁々発止を繰り広げる、シャープでクールでモーダルなモダン・ジャズだ。そんなジャズ・マナーに則りスウィンギーに歌うビラルや、シャナイア・トゥウェインのカヴァーで鳴るグラスパー節のメロウなピアノに寄り添うグレッチェン・パーラト、賛美歌メドレーを優美なヴォーカリーズでこなすニッキー・ロス、これらの歌声が熱いバップの合間の清涼剤となり、同時に豊かな音楽的要素も加えている。練られた構成から職人的な細やかさも感じられる、多彩で端正なジャズ・アルバム。