ジャズ・ミュージシャンが(主にヒップホップ~アーバン方向に)越境を試みるのか、枠組の中でその形を更新せんとするのか、一口に〈ロバート・グラスパー以降〉といっても、その流れはいくつもの支流を成したり合流したりしながら目まぐるしく個々の進化へと流れ込んでいる。もちろんグラスパーやホセ・ジェイムズに連なる人脈が時代に大きな楔を打ち込んでいるのは言うまでもなく、黒田卓也やクリス・バワーズ、リチャード・スペイヴンらが次々にソロ/リーダー作を発表したことは、オーセンティックなアーティストの変化も喚起するような新しいジャズの在りようの提示だったに違いない。そして、そういう理屈っぽい話をするより先に、多くのコンシャスなリスナーを〈ジャズもチェックしないと何かヤバい!〉という気分にさせたことが2014年の何よりの収穫だったのではないだろうか。
▼関連作品
左から、黒田卓也『Rising Son』(Blue Note)、クリス・バワーズ『Heroes + Misfits』(Concord)、リチャード・スペイヴン『Whole Other』(Fine Line)、オーティス・ブラウン3世『The Thought Of You』(Blue Note)
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