父レオポルドと息子ヴォルフガングのモーツァルト親子は世界で最も知られた親子と言えるでしょう。稀有の音楽才能を持った息子の就職の旅を支援すべく荘重で計画的な父親と、俊敏な好奇心あふれた息子の手紙によるやりとりを、読みやすい会話調で訳してあります。父が息子に帯同するつもりが皮肉にも自身の職場環境でかなわず、手紙で指示を出す状況に。よって内容は就職のために会う人付き合う人、逆に付き合ってならない人などこと細かにわたります。何よりの心配はお金です。当然ですが、息子の長逗留に比例して出費が膨らみます。ヤキモキする父。愛情ゆえのすれ違いなど、普通の親子の葛藤がここにあります。