2024年に1974年のデビューから50周年を迎えるTHE ALFEE。お茶の間でも親しまれる桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦の3人は、フォークやロックに始まり、変幻自在の音楽性と圧倒的なポップネスを持ち味に半世紀を駆け抜けてきた。〈国民的バンド〉と呼べるであろう彼らは今夏、ニューシングルやベスト盤トリビュートアルバムの発表を相次いで実施、50周年を記念する怒涛の〈祭り〉を展開中だ。今回は、そんなTHE ALFEEの音楽の魅力とは何なのかを、 連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉でおなじみのジャズピアニスト・西山瞳に綴ってもらった。 *Mikiki編集部


 

どんな音楽性でも圧倒的にTHE ALFEE

突然目に入ってきた“メリーアン音頭”の文字。〈なんだそれ〉と訝しみながら聴いてみると、あの“メリーアン”が本当に音頭になっていました。音頭用に編曲しているのかと思っていたら、思った以上に“メリーアン”の素材そのままで、〈はあ〜よいしょ!〉などと掛け声が入る。あの大ヒット曲に振り付けがつき、踊れるようになりました。何度も聴いてきた曲ですが、それでも繰り返し聴いてしまう、謎の中毒性と味わい。これがデビュー50周年を目前にリリースされるとは、なんという柔軟性でしょうか。

THE ALFEE 『メリーアン音頭』 Virgin/ユニバーサル(2024)

そして7月24日にリリースされたシングル“KO. DA. MA.”は、このTikTokやショート動画全盛の時代に、イントロだけで45秒もあるメタル曲。と思って聴き進めると、中身はTHE ALFEE 100%。ジャンルという入れ物が変わっても、THE ALFEEの存在感は圧倒的。50周年目前の長寿バンドなのに、今でも常に違うことをしている。けれど、圧倒的THE ALFEE感。

THE ALFEE 『KO. DA. MA./ロマンスが舞い降りて来た夜』 ユニバーサル(2024)

8月16日には、デビュー50周年を記念したベスト盤『THE ALFEE 50 SONGS 1974-1996』もリリースされます。こちらは、高見沢俊彦氏の選曲による1996年までのシングル表題曲を中心にした4枚組ベスト盤。大袈裟ではなく、あっという間の4枚組でした。当時の時代の空気を感じ、THE ALFEEを通してポピュラー音楽史をうっすらと追いかけるようです。

THE ALFEE 『THE ALFEE 50 SONGS 1974-1996』 ポニーキャニオン(2024)

そして、広範囲でありながらも時代区分が広すぎない1974年~1996年という縛りの選曲のため、THE ALFEEは常に変化し細かくトレンドを取り入れ、ジャンルのミックスもしてきた経緯が非常によくわかる。でも、どんな音楽を下敷きにしても、聴いた後に残る印象は〈圧倒的にTHE ALFEE〉。THE ALFEEというOSに、新しいアプリケーションをインストールするけどOSは変わりません、みたいな感じかしら。