ピアノでこれほど粒立ちのよい静寂な澄んだ音を奏でられるものなのか!と驚かされる。連弾でありながらまるで一人で演奏しているようにしか思えないのは、二人の芸術の方向が一致しているからこそなせる技だろう。緻密で恐ろしいくらい耽美的な“幻想曲”、リズム感が素晴らしく、ピアノの弦の上に布を置いて弾くなど凝ったサウンドの大曲“ハンガリー風ディヴェルティメント”と、シューベルト作品2曲のオマージュのようなデシャトニコフ作品を収録。因みに1989年生まれのコレスニコフはHyperionレーベルでのバッハ“ゴールドベルク変奏曲”は私見ではグールド以上に個性的な素晴らしい内容だった。