15歳で書いた“成長記”を22歳の今歌ったら?
――デビュー当初はアコースティックな楽曲のイメージがありましたが、キャリアを重ねるなかで音楽性も広がってますよね。
「そうですね。デビューした頃は全部ギターで作っていたんですよ。私にとってはいちばん身近な楽器だし、弾きながら作るのは楽しいんですけど、ずっと弾いてきたから手癖みたいなものがあって。〈この流れだと、次はこのコード〉みたいなものがけっこうあるんですよ。
そこからなかなか抜け出せなかったんですけど、高校を卒業して、音楽の専門学校に通うようになってからはDTMとギターが半々くらいになって。全部DTMで作ることもあるし、〈Aメロはギターで、あとはDTM〉ということも。曲調も広がったし、専門学校に進学したことはポイントでしたね。卒業して2年くらい経つんですけど、仲間と一緒に競い合いながら高め合う空間はすごく大事だったと思います」
――さきほど話に出てきた“成長記”は、デビュー前からファンの間で音源化を望まれていた楽曲。15歳のとき、どんな思いでこの曲を書いたか覚えていますか?
「曲名は最後に付けたんですが……最初は内省的なことを書こうと思っていました。“戯言~ひとりごと~”という曲があるんですが、それと似たような感じで、そのときの自分の視野から見える景色、考えていること、大切にしていることなどを曲にしてみたいなと。
その時点で曲を書き始めてから何年か経っていたんですけど、〈感性や考え方は、どんどん変わっていくんだな〉と思い始めて。当たり前ですけど、そのときの感情は、そのときにしかない。だったら、後で振り返ったときに〈この頃の私はこういうことを考えていたんだな〉という曲――それこそ〈成長記〉ですよね――を書いておきたいなと。そのことだけを考えて、つらつらと書き連ねたのが“成長記”なんです。
歌っていることは内省的だし、ネガティブな思考も見え隠れしているんですが、それを含めて〈今歌ったらどうなるだろう?〉と思い、今回レコーディングすることになったんです。自分の視野がどう変化したのか、私自身も振り返ることができるし、ずっと聴いてくれているファンの皆さんにも楽しんでもらえるんじゃないかなと。〈音源化してほしい〉という声もずっとありましたからね」
――15歳で書いた曲を7年後にレコーディングして、どんなことを感じました?
「15歳のときに歌った“成長記”を自分のYouTubeチャンネルにアップしているんですよ。レコーディングする前は〈そんなに変わらないんじゃないかな〉と思っていたんですけど、聴き比べてみるとかなり違っていました。
“成長記”を書いた頃は誰のアドバイスも受けていないし、けっこう尖ったところもあって。全部自分で作っているので自業自得なんですけど、歌うのが難しい曲なんですよ。ライブで歌うのも大変だったんですけど、久しぶりに歌ったら意外とすんなり歌えて。時間が解決してくれることもあるというか(笑)、少しは成長してるんだなと思いました。今後はライブでも歌っていきたいし、幸先良いスタートが切れました」