フィンランドの片田舎で生まれた愛すべきメタル野郎どもの痛快ムービーが楽しさもスケールもUPして帰って来た!
前作のラストで「また戻って来るぜ」と宣言していたとおり、〈終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推進メタル〉の布教者たち、インペイルド・レクタム(直腸陥没)がわれわれの目の前に帰って来た。痛快ヘヴィメタル・ムーヴィー待望の続編「ヘヴィ・トリップⅡ/俺たち北欧メタル危機一発!」は、アクション、サヴァイヴァル、挫折とサクセスなどさまざまな要素を追加してスケール感の向上をめざしつつ、同時に細部へのマニアックなこだわりも徹底していて、理想的な続編に仕上がっている。これはより広い層にアピールできる、間口の広い映画になっているんじゃないかな?と1作目をこよなく愛するマーティ・フリードマンが、今回も映画について大いに語ってくれた。
「一般の映画ファンが観たら、メタルの世界ってこんな感じなの?って驚かされると思うけど、そこがさらに面白くなっているかも。例えば、メタラーの魂。メタルを通じてできた仲間に対する愛がしっかり描かれている。あと映画の劇伴が似非とかジョークじゃないガチメタルなところ。統一感があって、映画の世界観をしっかり守っている。そのやり方は珍しいし、好感が持てますね」
――今回は、音楽ビジネスの裏側にスポットライトを当てることが物語のひとつの軸になっています。あの描き方はどう感じましたか?
「ファンタジーだよね。本当の音楽ビジネスの世界はあんなにシンプルじゃないし、馬鹿じゃない(笑)。出てくる悪役もディズニー映画の登場人物みたいで、ストーリー的にわかりやすくて楽しめるように描かれている」
――あと新進気鋭のインペイルド・レクタムと、ヴェテラン・バンドのブラッドモーターの立場を対比させるという新旧世代の交代劇が物語を盛り上げる要素となっていますが。マーティさんにも似たような経験はありますか?
「いっぱいありますよ。僕がメガデスに入った頃、ジューダス・プリーストのツアーで前座を務めました。で、5〜6年経つと、立場が逆になっていた。こういう現象は日常茶飯事。どんなジャンルでもトレンドの波があって、いつ上がるか、あるいは下がるかはさっぱりわからない。僕みたいにキャリアが長い人は両方経験しているけど、明日どうなるかわからないなか、悔しがったり妬んだりしている暇はない。人気があろうがなかろうが、自分の音楽の旅は続いていくから。あと現実的な描き方として、BABYMETALが登場してくるじゃない? ベースのクシュトラックスは最初、こいつら何ぞや?って目で彼女たちを見ているけど、なぜか知らず知らずのうちに惹かれていく。あれってまさにメタル・ファンの間で実際に起きたこと。メタル好きにはスタイルの純粋さを求める人が多いけど、BABYMETALにはそんな彼らを魅了する力があるってことをこの映画が描いてくれた」