ピアノ弾き語りメインの上質なクリスマス作品というのは聴き心地だけ。その中身は、毎年変わりなく訪れる行事を自分自身の変化を顧みる節目と位置付け、楽しいだけではない寂しさやメランコリーも表現した一枚だ。つまりは毎度の最高なベン・フォールズ節が楽しめるわけで、失った愛を反芻する“Sleepwalking Through Christmas”を筆頭に、孤独な冬の散歩道で聴きたい楽曲が揃っている。思わせぶりに挿入されるバカラック“The Bell That Couldn’t Jingle”などのカヴァーやインストも効果的だ。