東京・府中発の4人組ロック・バンド、Halujio。高校の同級生だったヴォーカル/ギターの高畠大知とベース/コーラスの松本宗光を中心に結成され、ギターの大窪弥真斗、ドラムスの細川龍之介がのちに加入し、現在のラインナップとなった。バンド名はBUMP OF CHICKENの楽曲“ハルジオン”から取ったという。

 「僕と宗光がバンプを大好きなんです。バンドを組む前に、彼らのライヴを観に行ったんですけど、アンコールの“ハルジオン”を聴いたとき、感動とインスピレーションでこれだ!みたいになって。バンド名っぽくなるように〈ン〉は抜きました(笑)。〈雑草〉の意味を持つ花なので、いまは〈自分たちの音楽を根強く広めていきたい〉という希望も含めてます」(高畠)。

Halujio 『roots』 Paddy field(2024)

 そして、このたび彼らにとって初の全国流通盤となるミニ・アルバム『roots』がリリースされた。

 「Halujioの新たなスタートを飾る、〈根っこ〉と言える作品ができたし、聴いてくれる人のルーツになってほしいという意味で、このタイトルとジャケットです」(高畠)。

 「バンプをはじめ、サカナクション、04 Limited Sazabys、Hi-STANDARD、SHANKなど、自分たちのルーツも表れていると思います」(細川)。

 序盤の“tomas”“cyan blue”は爽快でパンキッシュな色が映える一方、マイナー・キーの“regret”以降はアンニュイさやオルタナティヴな表現が見えたりと、聴き進めるにつれてバンドの印象が変わっていくのがおもしろい。

 「ミッドテンポで大人の感じも出せてよかったです。“carat”は僕の好きな漫画『宝石の国』の世界観にマッチしたサウンドだったので、それとリンクするような歌詞を大知に書いてもらったり」(松本)。

 「よりキャッチーな曲が欲しいというリクエストもしました。特に“tomas”“cyan blue”は、疾走感のあるギターでメロディアスに仕上げられたんじゃないかと」(大窪)。

 「ASIAN KUNG-FU GENERATIONの“スタンダード”やリーガルリリーの“GOLD TRAIN”を聴いて、ああいうサーッと流れていくような電車っぽいサウンドの曲が作りたいと思ったんです。電車のイメージから“tomas”と名付けて、バスドラはガタンゴトンみたいな響きで叩いてもらってます」(高畠)。

 作詞・作曲を担う高畠は「何のことを歌っているんだろうと考えるのも楽しいというか、余白と奥行きのある歌詞が好きなんです。万人受けするような恋愛ソングを書くとか、媚びたり迎合したりはせず、いろんな曲に挑戦したい」とHalujioの美学を明かす。

 「僕らメンバーもそうなんですけど、曲を繰り返し聴くことで、大知が与えてくれた余白が埋まる感じですね」(大窪)。

 「ちなみに“シルバーズ”は、音楽を辞めて連絡を取らなくなった友達や先輩を想って書きました。2位のイメージから〈シルバーの人たち〉というタイトルにしつつも、彼らが作った曲は残っているし、銀色かもしれないけど輝いていると歌ってます。そして“羽化”では、どうしようもない自分のことを憂いながら、それでも羽ばたいていこうと顔を上げる心境を優しく描けたかな」(高畠)。

 「“羽化”はすごくシンプルに叩いたんですけど、そのおかげで全体の聴こえ方が良くなったというか、ドラマーとしてのキャラクターが立った気がします」(細川)。

 高畠がかつてないほど自分の気持ちをストレートに書けたという“パスバレー”も秀逸だ。

 「6年半くらい飼っていて亡くなってしまったパスバレーフェレットのことを歌った曲で、いままでありがとうの感情を込めて作りました。ずっとアルペジオを弾いているようなアレンジはバンプらしいかも」(高畠)。

 「動きのあるベースラインもね。フェレットがちょこまか走っているイメージで弾いてます」(松本)。

 


Halujio
高畠大知(ヴォーカル/ギター)、大窪弥真斗(ギター)、松本宗光(ベース)、細川龍之介(ドラムス)から成る4人組バンド。2018年より東京・府中を拠点に活動。全国のライヴハウスへの精力的な出演を経て、2020年にPaddy field監修のコンピレーション『to the next field 3』に参加し、注目を集めた。2023年にはライヴ会場限定でファースト・アルバム『blue whirl』を発表。このたび初の全国流通盤となるミニ・アルバム『roots』(Paddy field)をリリースし、ツアーを控えている。