かつて清廉な歌声で世界中のリスナーを魅了した〈アップルの歌姫〉の活動がこのところやけに活発だ。これは全編彼女のスキャットで構成された自由なサウンド・スケッチといった趣の新作で、ボサノヴァやカリビアン・ビートなど多彩な曲調に挑戦した意欲的な姿勢も頼もしい。何より相変わらず妖精感の強い声の響きが心地良くて、無条件にまどろんでしまう。