「結の人生の足跡を辿るような感覚でアルバムを聴いてみてほしい」
昨年9月から放映中のNHK連続テレビ小説「おむすび」は、当時社会現象だったギャルが主人公の平成青春グラフティ。その音楽を多くの人気テレビ番組を手懸けてきた堤博明が担当している。
「『おむすび』は、毎朝の放送なので、耳にした時の心地好さや、聴いて爽やかな気持ちになれることを意識して制作しました」
そのサントラが昨年のVol.1に続いて今月Vol.2が発売されるが、目を引くのがこれをどうやって音楽にしていったのかと不思議に思うユニークなタイトルだ。
「事前にいただいたメニュー表にタイトルと、曲のイメージの説明があって、そこから着想を得て作曲しました。例えば、“結婚へ向けた節約生活”は、節約なので、高価なギターは買えないなと考えて(笑)、手に取りやすいピッコロギター、高音が特徴なんですけれど、それを弾いたり、軽快なリズムは、チャリンチャリンと貯金箱に小銭を貯めていくイメージですね」
堤博明の音楽は、生演奏と打ち込みのトラックを融合させたスタイルで、「生演奏の割合が多いのが僕の特長のひとつかな」と言う。その楽器がまた多彩で、自身が奏でるギターやマンドリンなどの弦楽器をはじめ、鍵盤ハーモニカ、トイピアノなど予想外のさまざまな音が耳を楽しませてくれる。
「鍵盤ハーモニカは、いい音を出すし、表現力もあって大好きなので、結構演奏を入れていますが、他にもグラスハープやハーモニウムなども使っています」
2枚のサントラには計60曲を収録。そのなかに“一つのおむすび”という共通する曲がある。
「主人公の結が被災した幼い時に避難所でもらったおにぎりひとつの記憶から紡がれていく物語の、メインテーマになるのが“一つのおむすび”です。Vol.1では平成を意識したバンドサウンド、Vol.2のオーケストラバージョンは、物語を総括するという大きなイメージで作った曲になります」
もうひとつ共通しているのが“I’m a GAL”という曲だ。
「“パラショー”のために先行して作ったのが“I’m a GAL”で、このメロディを印象的に物語に反映させていくために、アレンジ違いで数曲作りました」
そのアレンジ曲が新作Vol.2でとびきりの効力を発揮している。
「Tr. 06“I’m a GAL -Memories-”の後、過去を振り返る曲が続いて、Tr. 12“I’m a GAL -Future-”で現代に立ち戻るという、時間軸を意識した曲順になっています。ぜひ結の人生の足跡を辿るような感覚でアルバムを聴いていただけたらと思います」
TV INFORMATION
連続テレビ小説「おむすび」
作:根本ノンジ
主演:橋本環奈
音楽:堤博明
放送:【毎週月曜~土曜】午前8時~8時15分 ほか
https://www.nhk.jp/p/omusubi/ts/NJ1W7VQ6W9/