ムード歌謡漫談や(渋すぎる面々の)声帯模写など、唯一無二の才能と独特の存在感でカルト的な人気を集めるタブレット純。本書は、彼の青春期を中心としたエピソードの数々が綴られた自伝だ。愛犬家ならずとも胸が締めつけられる幼少期に飼っていた愛犬・ムクとの別れ話から始まり、8年働いた古本屋の倒産や介護職時代の同僚や酒にまつわる思い出の多くは、切なさと笑いなどが混然一体となったものばかりだが、中盤には和田弘とマヒナスターズへの加入という劇的な展開も。また、文体には彼の人柄を象徴するような〈品の良さ〉が滲み出ていて、不思議なヒーリング効果を伴いながらグイグイと読み進めていける。
タブレット純「ムクの祈り」カルトな人気を集める才能が青春期を綴った自伝 ヒーリング効果を伴う品の良い文体でグイグイ読める
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