映画評論家、 樋口泰人の3冊目の著作となる新著はWebサイト〈boidマガジン〉に連載されている日記〈妄想映画日記〉の2021年から2023年の3年を記録した一冊。この3年の記録には樋口氏の運営するレーベルboidへのコロナ禍による大きな経済的な打撃、親友の青山真治監督の死、中原昌也の罹患、そして自身の病という様々な出来事が影を落としている。病や死の記録の間に書かれている映画と音楽への言葉には唸ってしまうが、もっと著者の言葉を読みたいと思わせる文章だ。前著「映画は爆音でささやく 99-09」が2010年の発売なので14年ぶりの新刊となるが素晴らしい一冊。