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新曲“Eternal Promise”と幼少期に出会った竹内まりや、杏里らの歌

――カバーアルバムとはいえ、オリジナルの新曲“Eternal Promise”からスタートします。とても王道のシティポップという印象があって、他のカバーと並べても違和感がないですが、そこは意識したのでしょうか。

「いや、あまり意識していないです(笑)。いつも意識するのはコード感とかそういうところなんですよ。

今回、安部潤さんとLINEで打合せしたんですけど、〈今回、ワークシャイみたいなのやりたい〉って言ったんですよね。ワークシャイの“Love Is The Place To Be”という曲の“Unforgettable Mix”というバージョンが軽快なガットギターで始まるんですが、そんな感じがいいって投げたら〈いいですね〉ってすぐに返ってきて、でもイントロはギターではなく潤さんのピアノがいいとかブラスをがっつり入れて欲しいとか、1時間半くらいやり取りしたら、あのアレンジが出来上がってきたんです」

――なるほど、シティポップを目指したのではなく、アシッドジャズだったんですね。少し懐かしい感じもあって、セルフカバーなのかなと思ったくらい馴染んでいますね。

「自分がこう歌いたいとか、いちばん声がきれいに出るメロディラインっていうのが無意識に出ているのかなって思います」

――“Eternal Promise”に続く、カバー曲の1曲目が竹内まりやさんの“Morning Glory”です。

「まだ10代の頃だったと思うんですけど、山下達郎さんの“Morning Glory”を聴いて、なんて気持ちのいい曲なんだろうと思ったんですよ。〈こんな曲を作れるなんて天才、神!〉って(笑)。でもまりやさんのバージョンはけっこう後で知ったんです」

――アレンジに関しては、安部さんにどういうリクエストをしたんですか。

「〈原曲の良さを生かしつつ、私っぽくしてください〉っていう感じですよ(笑)。そしたら、〈わかりました! 得意です!〉って」

――それだけであのアレンジが上がってくるとは、安部さんすごいですね。

「そうなんです。もう話が早いし、痒いところに手が届きすぎるほど。コードもこういう風になるといいなってなんとなく考えていたら、その響きで仕上げてくださいますから。今回はコーラスにも凝っていて、DAISUKÉさんが私の声を包み込むような素敵なコーラスアレンジをしてくれました」

――“Eternal Promise”もそうですが、コーラスワークはとても耳に残りますね。続いては杏里さんの“SURPRISE OF SUMMER”です。

「角松敏生さんがプロデュースした杏里さんの曲もずっとカバーしたいと思っていたんですよ。最初は“WINDY SUMMER”にしようと思っていたんですが、なんと先にジャンク フジヤマさんにカバーされてしまって(笑)。実は飲み友達でもあるので〈ちょっとずるいんだけど!〉って言ったら、〈ダメですよ、俺が先ですから。遅かったですね〉なんて言われて(笑)。でも後から、もしかしたら“SURPRISE OF SUMMER”の方がいいかもと思い直してこの曲を選んだんですよ」

――アレンジがかなり原曲に近いですよね。イントロのギターもそうだし、いいグルーヴを醸し出しています。

「安部潤さんは、私と角松さんとのつながりもよくわかっているから、〈もうちょっと16ビートな感じを強調して〉と言った程度であのアレンジになりました。杏里さんの『Timely!!』や『COOOL』は、もう何回聴いたかわからないくらいでしたから、本当に念願のカバーです」

――意外だったのは次の“赤と黒”です。岩崎良美さんのデビュー曲ですね。

「これは中学生の時だと思うんですが、サンリオショップによく行っていて(笑)、いつも有線が流れていたんですよ。ある時この曲が聞こえてきて、〈なにこの曲? すごくかっこいい!〉と思って。岩崎良美さんはテレビに出ている方だったから、すぐに“赤と黒”だってわかったので、急いでレコード店に駆け込んでシングル盤を買いました」

――SHOGUNの芳野藤丸さんが作曲していますが、歌謡テイストが強めですよね。原曲はかなりウェットな印象です。

「以前、ギターの竹中俊二さん、パーカッションの石川智さん、そして安部潤さんと私の4人でブラジルっぽいサウンドのライブをやったことがあったんですよ。それでこの曲をカバーすると決まってからすぐに、あのチームでやりたいとリクエストしました。あまり歌謡曲っぽくならないようにアレンジしてもらって、ああいう感じになったんです」

――さっきおっしゃっていた少し力を抜いた歌い方が、ウェットな印象を緩和しているような気がします。

「カラオケでこの曲をよく歌っていた時期があったんですが(笑)、歌うとなるとしっかり声を出さないと歌えない曲なんです。でも、こういうアレンジなら、ウィスパーボイスを使ったりしても大丈夫なんですよね。そういったトライもしてみました」